頸損だより2010秋(No.115) 2010年9月19日発送
ブレス・トゥ・ヴォイス -Breath to Voice-
− 「息」から「声」へ − 連載 第9回
2007年6月9日明石において“人工呼吸器使用者の自立生活を実現するために“という市民公開講座を兵庫頸損連絡会で開催した。市民公開講座の終了後、その実行委員会が立ち上げていたメーリングリストの愛称が、”ブレス・トゥ・ヴォイス“となった。人工呼吸器使用者や高位頸髓損傷者など最重度の四肢麻痺者の自立生活を考え話し合い、情報を提供し実現していくためのメーリングリスト。ブレス・トゥ・ヴォイス(Breath to Voice)とは、息をするのもままならなかった人達が、声を上げ、大きな運動のうねりをつくっていきたいという願いから名づけられた。この市民公開講座に参加した人工呼吸器を使用する仲間は、その後何をめざし、どんな行動を取っていってるのか。その後の動きを伝えていきます。
●頸損連絡会の人工呼吸器を使用するメンバー有志で、共通する課題や呼吸器当事者に有効な情報を自分たちで共有していこうと、情報交換&交流会を昨年2009年から始め、これまでに5回開催してきましたが、7月は夏休みモードでカラオケ交流と、ビアパーティを行いました。今回はその内容をレポートします。
〜真夏のひととき〜
兵庫頸損連絡会 米田進一
皆さん、いかがお過ごしですか。久々の投稿です。今回は風邪のため京都大会に参加できなかった悔しさを、外出によって解消出来た事を寄稿します。登場する人物は、あえてイニシャルにしています。
●カラオケ大会
7月初旬、梅雨の真っ只中でありながら、この日は運良く快晴で、自分自身三年ぶりとなるカラオケに行って来ました。頸損メンバーは、Iさん、Tさんと私の三人、介助者(全て男性)の華のないゴリゴリのメンツだらけで行いました。部屋に入り、まずは食前酒を頼みスタンバイ。歌の前で乾杯した後、Iさんがトップバッターで開演?笑)
Iさんと私は人工呼吸器なので、息を吸うのもままならない状態でありながら、カラオケを歌う事は通常よりも肺活量が必要なので、一曲歌うととてつもなく疲れます。その中でアルコールを飲みながら、心も体もいつもよりリラックスした状態だったので、私は酔いがまわってしまいました(笑)
Iさんは、何度も何度もカラオケに行っているせいか、何曲も歌っていました。Tさんは、お酒がどんどん進み一人で笑いながら自分の世界に入っていました。そしてTさんの愛のつぶやきを目の当たりにしました。TさんがTさんの介助者に耳打ちしたら、Tさんの介助者はIさんの介助者や私の介助者に食事介助をしてくれるサービスがあり、おもてなしを受けたみんなは照れ笑いになり、さらに場が和みました。私は久々のカラオケでもあり、休憩しながら退室する時間まで4、5曲歌いました。各々が歌っているときの顔立ちは、いつも見る顔と違いこの時だけは酔っぱらっているので、とても良い顔でした。最後に恒例であるお店の前で三人並んで記念撮影。三年ぶりのカラオケはすごく楽しかったです。又、機会があれば是非皆さんと一緒にカラオケしましょう!
●暑気払い(ビアパーティー)
7月下旬、猛暑となったこの日、少人数でビアパーティーを行いました。私は、集合時間より2時間前に大阪に着いていたので、時間つぶしのため駅前にあるヨドバシカメラの5Fに行きました。30分後に今いる場所でピアノミニコンサートが開演すると言うことで、時間の許す限りミニコンサートを鑑賞しました。開演から10分後に集合場所に向かうため地下道で移動したのですが、日曜日でもあり天神祭が重なった大阪駅周辺は、人が多すぎて移動に凄く時間が掛かりました。現地に着いたのは、ちょうど集合時間になっていました。あと参加する2人はまだ着いていませんでした。数分後参加者であるAさんとTさんが到着。すぐさま店に入り案内された場所に行きました。案内された場所が少し狭いので店員さんに広い場所にしてもらうようお願いしました。店長の計らいで個室に案内して貰い、リクライニングしたままゆったりした部屋でくつろげました。早速食前酒を注文、お酒がテーブルに運ばれ、まずは乾杯!空腹にお酒が入ったのですぐに酔いがまわりました。食事を取りながら、各自の近況報告を伝え、受傷からの経緯や最近の取り組みなどの話が盛り上がりました。お酒が進み2杯目を注文、私は人生初となる麦焼酎を頼みました。麦焼酎をストローで一口飲むと、辛子とわさびを同時に食べた様な刺激がドカ〜ンと鼻に来ました!!(涙)その時心の中ではアントニオ猪木風で「苦すぎるだろが、バカヤロウ!!」と叫んでいました。ロックだったのがいけなかったのかなぁ〜(笑)
Aさんは一人暮らしに向けての取り組みを話され、Tさんも今後の活動についての話をされていました。私は今年の5月から一人暮らしに向けての準備として、ヘルパーさんに1日7時間の介助や見守りをしてもらっている報告をしました。やはりAさんも私も24時間介護という目標に向けての課題が多く、なかなか前に進めない状況で今後どうやって勧めれば良いか思案しています。帰り間際、「さらなるイベントに参加して下さい」と言うお誘いがあり、この下半期も頑張らないといけないという気持ちになりました。少ない人数でしたが、こういう集まりも自分たちには社会参加であり、公共交通機関を利用する自分の姿をアピールする良い機会のような気がします。また機会があれば皆さんで飲みましょう!!