頸損だより事務局通信 No.48

2005年8月14日発送

活動予定

2005年度活動日誌、活動予定ページをご覧ください。



「真夏のアピール行動」

赤尾 広明

7月31日に中之島の中央公会堂で行われた「障害者自立支援法を考える大阪の集いパート2」には2100名の障害当事者とその家族、支援者らが参加しました。それだけ多くの人がこの法案がこのままの内容で成立してしまうことに反対してるわけですが、この熱気あふれる大阪のパワーを国会に届けるために、8月3日、参議院の議員会館前で「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」が行われました。8月1日から会期末前日の12日まで続けて行われる「連続国会前行動」のうち、この日は「国会議員アプローチディ」という位置付けで、代表団によるロビーイング活動を後方支援するために全国から集まった300名が議員会館前でマイクアピール&シュプレヒコールを続けました。16時頃になって議員まわりを終えた代表団から次々と報告が行われましたが、残念ながら、ほとんどの議員が秘書対応で、愛想はいい秘書がどれだけ真剣に私たちの切実な願いに耳を傾けてくれたかは疑問のようです。

ある参加者は「負担ができなくて生活保護を受ける人が増えるような法案は絶対おかしい」と主張しましたが、まったくその通り。年金だけでギリギリの生活をしてる障害者の生活はこのままでは間違いなく破綻してしまいますが、それでも厚生労働省は強行採決になってもいいから今国会での法案成立を目指してるんですよね。この事務局通信が皆さんのお手元に届く頃にはおそらく何らかの“結果”が出てると思いますが、「大阪の集い」の開場前に突然降り出した大雨が私たちの涙雨にならないよう願います。



そして 自立支援法案・廃案!

8月8日。郵政民営化法案の参議院否決を受け、衆議院が解散。これに伴い障害者自立支援法案も廃案ということになりました。次の臨時国会にそのままの内容で再度法案が提出されるとも言われてますが、ともかく時間稼ぎ出来るようになった今、これを絶好のチャンスに、総選挙のため地元に戻ってくる各党議員の皆さんにどんどん私たちの思いや声を届け、再度たたかっていきましょう。(鳥屋)



★緊急アピール

先日の衆議院解散、これにより、私たちが昨年の10月以降から2月の国会上程を経て、これまで闘いを続けてきた、「障害者自立支援法案」が廃案となり、今後の見通しも一層不透明な状況となりました。このような状況に対し、全国大行動実行委から緊急アピールがなされました。



「障害者自立支援法案」廃案を受け、障害者の地域生活確立を求めるアピール

本日、参議院本会議での郵政民営化法案の否決を受けて、衆議院が解散されることとなった。そして、衆議院解散に伴って、参議院で審議中だった障害者自立支援法案は廃案となった。

直接的には郵政法案による情勢を受けてのものではあるが、ここに至るまで障害者自立支援法案の審議が延びてきたこと自体、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」と言った、障害当事者による粘り強い取り組みによるものである。

2月に当事者抜きで法案上程がなされたことに対する抗議行動に続き、5月には9000人の障害者・関係者が日比谷公園周辺に集まり、2000名の国会請願が行われた。さらに、7月には歴史に残る1万1000人の障害者・関係者による国会請願デモが取り組まれ、「このままの障害者自立支援法案では自立はできません!」との痛切な声が国会周辺に響き渡った。

また、国会審議が行われる度に連日国会周辺でのアピール行動が取り組まれるとともに、全国各地で地域集会が取り組まれてきた。

だが、7月13日に衆議院・厚生労働委員会、15日に本会議で採決が行われ、与党多数で可決され、参議院に送られた。その後、参議院では1回委員会が開催されただけにも関わらず、強行採決の動きすら噂されるような状況にあった。

私たちは当事者抜きで拙速につくられた法案が、国会で十分な審議や見直しが行われずに、このまま通過していくことは到底認められないと訴え続けてきた。


「障害者自立支援法案」廃案という事態を前に、当事者からの不安の声や問題指摘に耳を傾けずに一方的に法案を作成−上程したことへの、政府・厚生労働省の真摯な反省を求めるものである。国会でも指摘された通り、厚生労働省が出したデータに対する信頼性が揺らぎ、社会保障審議会障害者部会での議論の在り方が問われている。また、その反省に立って、小手先の修正による再提案ではなく、障害当事者との丁寧な議論をじっくりと行い、一からやり直すことを強く求めるものである。

この間、福祉・医療の応益負担の導入、重度障害者に対する長時間介護サービスの確保、審査会による支給決定の問題、移動介護の個別給付化、障害程度別のグループホームの再編とミニ施設化等の課題が指摘されてきた。そして、このままの自立支援法案では、ノーマライゼーション理念、施設から地域へという流れにブレーキがかかり、障害者の地域生活を根底から揺るがすことになるとの提起がなされてきた。こうした意見を真摯に受け止めることが必要である。


障害者自立支援法案の国会審議の最中に「もし、法案が今国会で成立しなければ、来年1、2月の2カ月分の予算が確保できなくなる」との説明が繰り返されてきた。だが、今回、国会で廃案が選択された以上、障害者サービスが後退することのないよう、予算確保に向けて政治の意志が示されることを、与野党に対して要請する。

特に、過去2年の支援費の予算不足とは異なり、国庫負担金として170億円の予算は確保されている。予算の費目を超えて利用できるようにするための国会決議を行うとともに、それでも不足する場合には補正予算も含めた予算措置がなされなければならない。


さらに、障害者自立支援法案での議論では、日本の障害者関連予算は国際的に圧倒的に低水準にあることが明らかになった。とりわけ、障害者の地域生活に関わる予算確保とサービス基盤整備について、飛躍的な充実が求められている。

こうした点をふまえて、「障害者の地域生活基盤整備・特別措置法」のような措置を行い、当面の基盤整備を行うことが必要である。


以上、今度こそ、私たち当事者の声に基づいた政策決定がなされることを、心より求めるものである。


2005年8月8日
「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会
代表 横山晃久


大阪頸損連から「7.31大阪のつどい」のこの日、シンポジストとして会員の家平悟さんに発言してもらいました。久しぶりに会えた家平さんに、なんとこの春、赤ちゃんが誕生していました。すっかりお父さんになった家平さん、本当におめでとうございます! 介助者の介助を必要とする家平さん、そしてその家平さんの家庭が安心して暮らしていけるためにも、これからもこの運動に対する取り組みを続けていかなければなりません。

事務局 鳥屋利治


7月31日 「障害者自立支援法を考える大阪のつどい・パートU」報告
〜わたしたちの声を聞いてください!!〜
2100名もの仲間が、会場を埋め尽くしました!!

突然降り出した激しい雨の中にも関わらず、中之島・中央公会堂に2100名もの障害者、家族、支援者の方々が集まりました。1階、2階のホールだけでは入りきれず、3階の会議室も使い、ホールの様子を映像と音声で「生中継」する盛況ぶりでした。(3階の皆さん、どうもすみませんでした)。民主党からは参議院議員で厚生労働委員会・理事の山本孝史さん、日本共産党からは衆議院議員で党副委員長の石井郁子さん、他、国会・地方議員の方々も多数ご参加頂きました(計27名もの議員の皆様が参加下さいました)。マスコミ関係もテレビ、新聞、ラジオ各社が取材していただきました。


今回のつどいは大阪府内13団体が力をあわせて障害の違いや立場の違いを超えて開催し、大阪の多くの団体が、このままの法案の成立には反対であることを表明しました。


●まず、アトラクションとして、鼓響(こびき)〜聴覚障害者の皆さんによる力強い太鼓の演奏で幕を開け、障大連の地村さん、きょうされんの中村さんの司会で進行していきました。開会に際し、大聴協の西滝さんから「法案の国会審議が進む中、応益負担をはじめ様々な問題が出ている。このまま法案を通す訳にはいかず、本日の集会を開催いたしました」とのあいさつがあり、続いて各政党からあいさつを頂いていきました。


●民主党・山本孝史さんは冒頭、「今日の集会に参加することにより、法案の問題点や要望を共有させて頂きたい」と述べられ、シンポジウムや会場からの発言を受けて、「民主党としては、障害者の意見を伺いながら審議を進めていきたい。この法案を通したいと明確に言っているのは自民党、公明党なんです。今日出された問題をきちんと受け止めて、共産党や社民党と共闘してみなさんと共に頑張っていきたい」と力強く発言されました。

また、共産党・石井郁子さんは、法案の内容にふれ、「障害程度区分の認定調査や、扶養控除と引き換えの減免でも負担増になる。法案がたとえ成立しなくても充分予算は確保できる」など指摘し、「引き続き充分な論議が必要であり、慎重な審議を求めていく。抜本修正ができなければ廃案をめざしていきましょう!」と、力強くアピールされました。

公明党は白浜一良・参議院議員のメッセージを三宅史明・大阪府議会議員に、また、社民党は福島瑞穂党首のメッセージを山本三郎・党大阪自治体議員会議事務局長に代読いただき、それぞれの法案に対する想いを加えていただきました。


●シンポジウムでは、まず、頸損連の家平さんからホームヘルプ・ガイドヘルプの引き下がりや応益負担によって今の生活が到底維持できなくなるという問題、大精連の塚本さんからは精神の医療費負担の増大や、グループホームや作業所のふるい分け、障害程度区分判定が精神障害者に合っていないという問題、難病連の岸本さん・中井さんからは更正医療や育成医療の費用負担によって内部障害者の生活が危機的な状況に陥ること、福祉協会の吉川さんからは作業所や授産施設などの日中活動の場が「訓練の場」となり、有期限(1〜2年)で追い出されてしまう問題などが提起され、会場からも応益負担やサービスの引き下がりなど、次々と法案の問題が訴えられました。最後にコーディネーターの障大連・楠さんからは「法案にはこのように地域生活を脅かす様々な問題がある。今日の熱気を国会に届け、最後まで闘っていこう!」とのまとめがありました。


●後半は障大連の古田さんから「自立支援法案の経過報告」があり、「徹底審議・抜本修正が無理なら一から議論を、廃案を!」との提起がなされ、団体を代表しての意見表明では、肢体不自由者父母の会の田畑さん、大家連の倉町さん、障連協の山本さん、大聴協の坪井さんから、「このままでは生活できなくなる」「法案には反対!」「このまま法案が通るなら憲法違反で裁判に訴えたい」との切実な想いが次々と出されました。


●そして、ピープルファースト大阪の新留さん、宮田さんから、別紙、集会アピールが提起され、満場の拍手で採択されました。最後に、きょうされん大阪の河野さんから「法案をきっかけにして、大阪での団体同士のつながりができてきた。最後まであきらめず、これからの取り組みに共に力を合わせていきましょう!」との力のこもった閉会あいさつで集会を終わりました。


兵庫・大阪ともにこんなボランティアを募集しています!

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注 写真は省略しました。

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