頸損だより事務局通信 No.57

2006年10月21日発送

活動予定

2006年度活動日誌、活動予定ページをご覧ください。


【9/24 自立支援法学習会レポート】「自己主張」

赤尾 広明

障害者自立支援法が本格的に施行される一週間前の9月24日(日)に、長居身障者スポーツセンターにて「本格施行でどう変わる!?〜障害者自立支援法の全貌〜」と題した学習会を行いました。当日は介助者も含めて44名の参加がありましたが、それだけこの悪法にはまだまだよく分からないことがたくさんあって、これからの生活に不安を抱いている当事者が多いということだと思います。今回講師を務めて頂いた障大連の細井清和氏には4月からすでに施行されている自立支援法の中身について改めて振り返って頂いたうえで、10月から作業所やデイサービス、ショートステイの利用はどうなるのか?重度訪問介護や重度包括支援、地域生活支援事業とはどういうものなのか?といった新たに施行されるものについての解説と、事前に募集したアンケートに対する回答、参加者からの質疑応答など、約4時間に渡って丁寧に分かりやすく具体的に説明して頂きました。

兵庫県在住のM氏からは今まさに直面している行政交渉を生の声として報告して頂きましたが、地域格差はあまりにもヒドイです。市町村によって福祉サービスの自己負担額の上限が違うし、利用できる時間数(支給決定内容)もまったく違う。おまけに窓口となる障害福祉課の担当者が複雑かつ難解なこの制度について詳細を知らない、あるいは現時点では市町村としての方針が決定していないところもあります。全国どこに住んでいても同じサービスが同じだけ利用できるのが格差是正を謳った自立支援法のはずなのですが…。この事務局通信がみなさんのお手元に届く頃にはおそらく障害程度区分によって利用できる福祉サービス、時間数、自己負担などが決定している方もおられると思いますが、その内容に不服がある場合、「不服の申し立て」ではなく「支給決定内容の変更」を申請するほうがいいというアドバイスが講師からありました。「不服の申し立て」は106項目の調査など支給決定のプロセスが適正に行われたかどうかを再チェックするだけなので、時間がかかるうえに障害程度区分など決定した内容の変更はあまり期待できませんが、「支給決定内容の変更」は時間数とかサービス内容に関する変更の申請なので、この申請で必要なサービスを必要なだけ利用できるように行政に自己主張することがとても大事とのこと。前述のM氏のケースが象徴しているように、ただでさえ地域格差がありますから、当事者がこの状況下で生き抜くためには自分の権利は自分で守るという意識が重要で、そのためには行政との交渉でしっかりと自己主張しなければなりません。まだ決まっていないこともありますから、行政に利益誘導されないように今後も制度の動向を注視しながら、自分たちの「権利」として主張していかないといけないということを実感させられた学習会でした。でも、私たちはただフツーに生活したいだけなんだけどね(失笑)。


「カナダ・バンクーバー 旅だより」

鳥屋 利治

カナダはブリティッシュ・コロンビア州(BC州)のバンクーバーに、三戸呂氏、宮野氏、そして私鳥屋と、それぞれの介助者計6名の関西弁丸だしの旅姿六人衆が、10/7〜10/14の一週間訪ねて来ました。福祉施策の進んだ国、呼吸器を使用しているくらいの状態であっても当たり前に地域で生活し活躍している、と聞く街。その実際を自分の目で確かめてみたい、との思いがあり、行ってみよう! ということに。また2001年全国頸損京都大会でお会いした、障害者運動のリーダーであり呼吸器使用者でもあるウォルト・ローレンスさんへの再会を果たすことも一つの目的でした。

現地に住む日本の方のお世話になり、通訳や道案内、その他調整ごとなど多大な協力を得て実現した旅でもありました。

向こうでは、リハビリテーションセンターとして有名な「GFストロング」(ここは、ウォルトさんがピアカウンセラーとして勤務されているところであり、5年ぶりの再会も念願通り果たせました)を訪問したり、グループホームである「ノーブルハウス」で生活されてる皆さんと交流したり、福祉機器開発機関「TIL:Technology for Independent Living」(ここでは呼吸器のメンテや管理、教育を一括して行っていたり、環境制御装置の、ユーザーへのカスタマイズなどをしている)を見学訪問したり、ハイキングや登山用の一輪車型車椅子「Trail Ride」に乗って森林の中をハイキングする体験などもさせてもらいました。この「Trail Ride」は、頸損で電動車椅子に乗ったバンクーバー市長(サム・サリバンさん)の設立したNPOプログラムの一つなんですよ。電動車椅子の市長がいる街。さすがカナダ! 権利擁護の意識の高さは、どの方の話を聞いていても感じました。

語り尽くせぬ体験や見てきたこと、感じたことは、またあらためて詳しく報告させてもらいます。

もちろんハプニングの多かったことも含めて。(ホテルのエレベータ故障事件、電動車椅子宮野号の充電器壊れ事件、シャワーチェアーで空港入り騒動、など…) 次回報告をお楽しみに。今回お世話になった国立看護大松井先生、現地で訪問先の調整や通訳、色々と手配して下さいました上村さん、石川さん、ボラ協力下さった皆さん、介助者の皆さんにお礼申し上げます。


兵庫・大阪ともにこんなボランティアを募集しています!

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注 写真は省略しました。

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