2008年度活動日誌、活動予定ページをご覧ください。
5月10日(土)から11日(日)にかけて行われた全国頸髄損傷者連絡会・大阪大会を無事に終えることができました。初日はあいにくの雨に加えて季節が逆戻りしたかのように肌寒く、最寄りの駅から会場まで移動するだけでも大変でしたが、そんな悪天候にも関わらず、今大会の目玉であるシンポジウムは230名以上が参加する大盛況。ここ数年、大阪頸損連としては医療的ケアとか人工呼吸器使用者の現状について考える機会を作ってきましたが、壇上のシンポジストはコーディネーターを含めて皆、人工呼吸器使用者という今回のシンポジウムはその集大成的なイベントになったように思います。夕方からのレセプションも200名の参加があり、マジックショーやコスプレ大会など大いに盛り上がりました。コスプレの写真も含め、全国大会の詳細については「頸損だより」夏号で特集として報告する予定ですが、ナースにメイドのコスプレ、アフロにタイ焼きに白鳥のかぶり物など、みなさん日頃お目にかかれないようなお姿に大変身(笑)。きっとそのお姿は全国頸髄損傷者連絡会の歴史の中で語り継がれていくことでしょう。2日目の特別報告では地域で暮らす頸損者の実情がよく伝わってきましたし、その後の総会でもすべての議案が承認され、大きなトラブルもなく2日間にわたった大会を終えることができました。実行委員長として反省すべき点は多々ありますが、とても有意義な大会になったのではないかと思うと同時に、今後の頸損連が歩むべき方向性のひとつとして、セルフヘルプ活動が果たす役割とその重要性を再認識できた大会でした。 みなさん、お疲れ様でした。
去る5月10日(土)〜5月11日(日)にかけて全国頚髄損傷者連絡会・大阪大会(以下、全国大会)が上本町の国際交流センターとホテルアヴィーナ大阪で行われました。思いおこせば、2007年9月末に私のもとへ赤尾さんから入った1通の「頚損連からのお願い」メールから始まりました。そのメールには「実行委員になってほしい」という旨のメールがありました。もともと、新年会の実行委員もあわせて行っていたため、「違った経験ができていいかなぁ・・・」と単純な動機で実行委員になることに承諾しました。
私は大阪のとある病院で作業療法士(以下、OT)として3年の実務経験がありますが、大阪頚髄損傷者連絡会の皆さんと会うまで、恥ずかしい話、『障害者(以下、当事者)の立場』ということを考えることがありませんでした。しかし、実際に仕事に就くにあたり、『当事者の立場』を知ることはとても重要なことであることを知ったので、OTとして就職してから当会の協力会員となりました。
最初の実行委員会から主に職場の休日である日曜日を中心に実行委員会へは参加させて頂きました。最初は何のために全国大会を開くのかということから始まり、会を重ねていくにつれて色々な作業が増えていきました。そして、赤尾さん、鳥屋さん達の熱い話を聞く度に、『みんなで力を合わせて、大阪大会を成功させる。そのために頸損連協力会員として、OTとして、実行委員として、ボランティアとして、何が出来るのだろう?』と私は思いました。
まず、ボランティアを集めるという話では当初、看護学校や会場近隣の学校という話でしたが、私の方から「リハ養成校もボランティア要請リストに入れてみてはどうでしょうか?」と提案しました。というのも、リハ養成校の学生は入学してから卒業するまで最低3〜4回実習を経験することになります。机上の勉強から突然、病院(施設)という環境に出されるので、当事者の生活パターンを考えずに評価・訓練を行うという従来のやり方に実習指導者の経験をさせてもらった時から疑問を感じていたのです。今回は大阪から3校のリハ養成校のボランティア承諾の返事を頂きました。学校の中には養成校で指導して頂いているPT・OTの先生方もいました。
また、今回は宿泊を通して当事者の方の大変な一日の生活パターンを見せて頂き、改めて在宅介護の大変さ、今回一緒に宿泊された介助者の大変さを知りました。夜は合田さん総指揮の下、日常生活場面でどの様な介助を必要とするのか、どの位の移乗パワーが必要なのかということを検討して、ボランティアさんと一緒に動きました。
全国大会当日。大雨の1日でしたが、はダンさんをはじめ、全国から多くの当事者が来られました。カナダでは呼吸器をつけても、呼吸療法士の資格を持つDr.が調整にあたっているという話を聞き、ビックリしました。さすが、『呼吸器先進国だけあるなぁ・・・』と私自身思いました。
今回はいろいろとアクシデントも色々とありました。ダンさんが寝泊まりするはずのエアマットが膨らまなくなったり、夜の介助量が予想以上に大変だったりして、レセプションで帰るはずやった人達に任意で残ってもらって手伝うこともありました。私はカタコトの英語で、ダンさんにOTとして働いていることを伝えると、ダンさんはとても驚いていました。また、介助の方からも「OTの仕事は今もつづけているの?」と聞かれる場面もありました。
全国大会を通して、私は『当事者が外へ出る、しかも自宅以外の遠い所へ出かけるということはとても勇気のいることなんだなぁ・・・。』と思いました。しかし、外に出る機会を一旦失うと家に閉じこもりきりになり、介助者である家族やヘルパーにもより在宅介護の場面で負担がかかる一方なんだなとも感じました。
日本ではまだ事業者が限定されているため、当事者が外出することは簡単なことではないと思います。しかし、カナダの医療制度は、日本と比べて、当事者に提供する事業者が日本と比べて多いため、在宅生活でも十分可能であるのだなということを思いました。(それでも、ダンさん自身はまだ少ないと言っていましたが・・・。)
全国大会は大盛況のうちに無事終わりました。この大会を通して私は数え切れない程いろいろな事を学びました。最後になりましたが、一緒に動いて頂いた実行委員の皆様、2日間大変でしたが、お疲れ様でした。
大阪府、橋下新知事は改革プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、4月11日に「財政再建プログラム試案」(PT案)を突如発表しました。これまで長い時間をかけて少しずつ充実させてきた障害者施策も軒並み廃止、削減する内容であり、あまりの削減の大きさに当事者、関係者の間に衝撃が走りました。
PT案は、「9年間で6,500億円の予算削減」という方針に基づき、今年度だけでも1,100億円の削減をめざしています。義務的経費以外の事業や府の単独事業は廃止もしくは10〜40%削減という非常に厳しい内容であり、制度の成立経過や背景、その効果などを吟味したとはとても言えるものでなく、1,100億削減の「帳尻合わせ」のために、各事業を機械的にふりわけてばっさり切り捨てようとするものです。しかも、この5月下旬から6月上旬にかけて、「正式案」として固めてしまおうとする急ぎぶりです。
府健康福祉部全体では数百にも及ぶ事業が削減対象とされています。障害者施策では、医療、生活支援、就労、障害児教育など、「生活に直結している施策」までもが廃止、削減され、障害者団体への補助金、会館や施設なども軒並み廃止、削減される内容となっています。
「生活直結施策」の主な削減事業だけ拾い上げても、以下のようなものがあります。
これらは、障害者の日々の生活、今後の自立生活に直結している施策であり、いくら財政難と言えども決して切ってはならないものばかりです。
大阪ではこれまで、どんな障害を持っていても地域で自立生活できるよう、地域施策の拡充に力を入れてきました。医療費助成やグループホーム・作業所の上乗せ、住宅改造、そして地域移行や就労促進など、そのどれもが長年の積み重ねによって築き上げられてきた施策であると同時に、重度障害者をはじめ全ての障害者の地域生活、生命を支える重要な「仕組み」と言えます。また、この間の自立支援法によって大きく揺るがされてきた個々の生活を何とか維持するために、緊急避難的に設けられてきた制度とも言え、国・府による「二重の削減」は到底耐えられるものではありません。
そして、現在の生活は、これらの制度を組み合わせることによって成り立っているため、これらを安易に切ってしまえば「生活基盤の崩壊」まで引き起こしかねず、決して「財政改善」にもつながらない無謀な削減と言えます。
5〜6月には削減事業が固まっていく方向でしたので、4月末に他団体が幅広く連携して「知事に届けよう!障害者や家族の想い・大阪ネットワーク」という集まりを緊急結成し、PT案発表から1カ月後の5月13日に大規模な「府庁アピール行動」を実施しました。
各団体が要望したい内容は数多くありましたが、全団体が一致できる「生活直結施策の要求」に絞り込みました。また、準備期間が短かかったため参加の広がりが懸念されましたが、今行動には府内19の障害者団体、家族会、事業者団体が連なり、当日は主催者の予想を大きく上回る3,000名もの多くの仲間が結集してくれました。
朝の登庁職員に対するビラまきに始まり、大阪城公園・教育塔前広場で大集会を行いました。まず、呼びかけ人代表の楠敏雄さんから「私達はこの間、自立支援法の影響でずいぶんと苦しめられてきた。今回の大阪府PT案は更に追い打ちをかけて私達の生活を削ろうとしている。今日は私達の叫びをしっかりと知事に届けていこう」とのあいさつがあり、続いて、集会に駆けつけて頂いた府議会議員団から民主党・西脇幹事長、共産党・蒲生議員からそれぞれ代表して力強い連帯あいさつを頂きました。
集会は陽射しの強い中、各団体からのアピールで気勢を上げていきました。大精連(塚本さん)、大家連(大野さん)、育成会(坂本さん)、ピープルファースト(金さん)、頸損連(東谷さん)、父母の会(田畑さん)、大聴協(中岡さん)、難病連(田井さん)、きょうされん(木津さん)、作業所連絡会(神門さん)、福祉協会(吉川さん)の11団体からそれぞれの危機感を熱くアピールして頂きました。
その後、集会場から移動して、3,000名で府庁舎を取り囲み、「障害者の制度を削るな!」「障害者の暮らしをつぶすな!」とシュプレヒコールを上げ、街宣車からもこの行動の趣旨や私達の想いを府民に訴え続けました。2年前のアピール行動を大きく上回る参加となりましたが、前回の経験もあって今回は滞りなく隊列を組むことができました。とりわけ、先述の障害者施策の削減額は16億程度であり、知事は「危機的な財政状況」を強調しながらも一方で「御堂筋イルミネーション化」に20億もかけようとしていることにみんなの怒りが集中し、「光の街より、障害者も生きていける街を!」と強く訴えていきました。
また、集会と平行して代表団は府庁に要望書提出に赴きました。今回は知事との面談は残念ながら実現しませんでしたが、出席した高木政策監からは「切実なご要望を真摯に受け止め、各事業の必要性や効果を知事やPTに訴えなくてはならないと肝に銘じている」との返答を頂きました。代表団は午後も引き続き、記者会見、各会派への要請行動を行いました。どの会派からも「これらの施策は切ってはならない最低限のセーフティネットである」と、今後の対案づくりや議会で取り上げて頂く手応えを得ることができました。
マスコミもこの間、府の「ムダ使い」を強調する報道が続いていましたが、今回の行動では4社がヘリコプターを出動して空撮を行い、多くのテレビ、新聞等が取り上げてくれるなど、府民に対して「障害者の生活、命に関わる問題」をアピールし始めることができたと思います。
府がこの削減を強行すると市町村の制度は一たまりもありません。府内の政令・中核市の制度も雪崩を打って崩れてしまうことは必至と言えます。また、他府県も厳しい財政事情を抱える中、今回の大阪の削減動向を注目しており、大阪だけの問題にとどまらない全国的な問題とも言えます。
今後も、マスコミ、議会に働きかけ世論に訴えながら知事との面談を実現し、何としても府の動きにストップをかけていきたいと思います。
今後も共に連携し、大阪の生活基盤を守り抜きましょう。どうぞよろしくお願いいたします。
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