第2回災害リハビリテーション支援研修会 第1部:停電対策についての報告 頸損だより2019夏号(No.150)
頸損だより2019夏号(No.150) 2019年6月13日発送
第2回災害リハビリテーション支援研修会
PDF 第1部:停電対策についての報告
昨年9月30日(土)に大阪急性期・総合医療センターで災害リハビリテーション支援研修会「被災した頸髓損傷者への支援について」がおこなわれ、今回2019年1月26日(土)第2回災害リハビリテーション支援研修会「大規模災害時、重度障害者が生き残る道」をおこないました。
第1部:停電対策についての報告
◆人工呼吸器業者:フィリップス・レスピロニクス合同会社 木下 智直
平成30年9月北海道胆振東部地震 震度7の経緯について、インフラの方は295万戸で停電が発生、交通は鉄道が全線見合わせ、道路も被害全域閉鎖、通信も混線、水道も断水したところもありました。
実際対応した流れですが、まず地震が発生して即停電が発生し、すぐにオンコールがあり、札幌の方では集合できる社員が札幌営業者に参集しましが停電の為、電子ロックドアが開かずガラスを破壊して入室しました。ノートPCはバッテリーがあるので患者様の連絡先など打ち出すために個別作業し、電話の安否確認をしました。
優先順位は24時間の人工呼吸器、気管切開、マスク。翌日9時に災害対策本部を設置しましたが、それまでに連絡を取り合っていました。次に本社の方と札幌の方で持っている患者リストを照らし合わせ、正式な患者リストを作成し、東北ブロックから支援の物資を開始しました。しかし青森県の大間市からしか連絡船がなく、仙台や茨木のフェリーも休航が判明して、私達はトラックを借りて埼玉県川越市の倉庫に物資を載せ、大間に行きました。その後、函館営業所に物資を運び、それからサポートという流れになりました。
その後、災害状況としては次々に停電が解消され、患者様の安否確認も完了という形になります。
まとめ、患者様の状況で呼吸器の装着患者様約500名、在宅酸素療法約400名、安否確認に要した時間は約102時間かかりました。患者様からの連絡内容はバッテリー・酸素ボンベ・停電したので不安であるなど。
応援としては東北ブロックから第一陣で、次に本社を含めて第二陣、緊急搬送患者様は0名でした。
北海道胆振東部地震の時に対応した経験から社内でも見直しを図り、災害時の基本方針について、まず社内と被災地域の社員の安否確認、支援物資それから応援部隊を必要であればおこなっております。最終的にすべてのご使用者(患者様)の安否確認をもって完了します。
◆介護機器業者:ケアショップハル 生駒 高敏
ご自宅でいろいろ福祉用具を使用しているが、電源を必要とするものが多いです。平成30年大阪での台風21号の対応について、当時動けるスタッスもいれば、地域に住んで被害を受けて動けないスタッフもいるので、動けるスタッフで当社の決まりごとで対処しました。
特に困ったのが台風21号が阪南方面に上陸したのがお昼過ぎで、ベッド上で背上げした状態の時に停電になり、事務所の電話回線は繋がらなく、利用者がスタッフの携帯電話同士で連絡が取れ、ベッドを水平状態に戻せないという連絡があり対処しました。
旧式のベッドに関しては強制的にピンを抜いてマンパワーで水平状態に戻す事もできますが、できないベッドもあります。
最近のベッドは停電時対策で、パラマウントベッドにはスマートハンドルで背上げ・脚上げ・高さを水平状態に戻すことや、フランスベッドにはスイッチ切替えで、手動で背上げ・脚上げを水平状態に戻すことや、他のメーカーも停電時対策用のオプションがありますが、年式が古いベッドにはないものが多いです。
またインバーター発電機という機器がありまして、カセットボンベをセットしてガスから電気を作るもので、一時的にベッドを水平状態に戻すこともできます。
特に問題は被災されている地域は避難勧告がでているので外に出る場合、段差昇降機などは動かないので、代案として長いスロープを用意しました。
また被災した時にご自宅で家族様が同じく困りごとで、水がなくトイレが困るというところで、一時的に災害用の排泄処理袋とか簡易災害用トイレを用意しました。
普段生活されている中で水が出るのも当たり前ですし、電源から電気がとれるのも当たり前になっていると思います。
携帯電話について当たり前の様に使用していますが、電池が無くて困るというところで、ポータブル電源があります。車のソケットからや家庭用電源からリチウム電池に蓄電して充電でき、家庭用電源にも使えるものがあります。またポータブル電源にはソーラーパネルを取り付けできる太陽光充電器もあり、モバイルバッテリーも有効です。
一度シュミレーションして、前もって電気などの代案は必要です。