65才以上の介護保険サービスの利用料の償還制度について 新高額障害福祉サービス等給付費

 
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65才以上の介護保険サービスの利用料の償還制度について

みなさまへ

 障大連・古田です。お世話になっております。

 今年4月から、国の新たな制度として、介護保険の利用を始めた障害者に対して、介護保険の利用料が全額償還される制度(新高額障害福祉サービス等給付費)がスタートしていますが、まだあまり内容が知られておらず、かなりややこしい制度であり、大阪市では今週、その取り扱いを間違っていたこともわかりましたので、それらの情報を併せてお伝えさせて頂きます。

◆新高額障害福祉サービス等給付費の概要
 

 65才になって介護保険の利用を始めた障害者(以下の要件を満たす人)に対して、介護保険の利用料が全額償還されるという制度です。障害者医療費助成と同じように、一旦本人が支払っておいて、後で償還される仕組みです。ただし、以下のように対象者や対象サービスにいろんな制限があります。

◇対象者 (以下のすべての要件を満たすことが必要です)

・65才の誕生日の以前5年間に「介護保険に相当する障害福祉サービス」(*)の支給決定を受けていた人。
*「介護保険に相当する障害福祉サービス」とは「介護保険相当障害福祉サービス」といい、居宅介護、重度訪問介護、生活介護、短期入所だけに限られています。

・65才の誕生日の前日の年度に市町村民税非課税、または生活保護受給。
(誕生日の前日が4~6月の人は前年度に、非課税または生保)

・65才の誕生日の前日に区分2以上であること。

・65才に達するまでに介護保険の給付を受けていないこと。

(今年4月1日以前に65才を超えている人も、上記の要件を満たしていれば、今年4月からの介護保険の負担分は償還払いできます)

◇対象とならない人

・例えば、65才以前の5年間に、介護保険相当障害福祉サービス「以外」のサービスとされる就労B型等の日中活動やグループホームだけを受けていた人は対象外とされています。

・また、60才から2年間、就労B型で、62才から生活介護に移り3年間利用していた人は、それら以外に居宅介護や短期入所の支給決定を受けていなければ対象外とされます。

・40~65才で、特定疾病により介護保険サービスを利用したことがある人も対象外!とされています。

◇償還の対象となるサービス

・障害福祉に相当する介護保険サービス(障害福祉相当介護保険サービス)=訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、地域密着型通所介護、小規模多機能型居宅介護だけで、介護予防サービスや地域密着型介護予防サービスなどは償還対象ではありません。

◇資料
・概要は添付1 厚労省のチラシを、
 新高額障害福祉サービス給付費(厚労省チラシ)

 詳細は添付2 厚労省の説明文+Q&A(30pもありますが)をご覧下さい。
 新高額障害福祉サービス費説明+Q&A

・詳細版には対象とならない人や、償還ケースのパターン、障害者夫婦の場合のそれぞれの償還額の例などが細かく示されています。

◆大阪市での間違い

 大阪市でサービスを利用しようとしたところ、「65才以降に、介護保険サービスだけ使う人は対象になるが、障害福祉サービスと介護保険サービスを併用する人は対象外」と言われ、そのことを既に全区に通知していたことが今週発覚しました。

 例えば、重度訪問介護利用者などではとても介護保険だけでは生活できないので、訪問介護+重訪を併用するのが当たり前ですが、その人は「この償還払いの対象にならない」というひどい扱いになります。

 昨日、こちらから厚労省に確認したところ、以下のような間違いであることがわかり、結局、大阪市は間違いがあったことを認め、急遽、全区に周知し直すことになりました。

◇当初の大阪市の言い分  (細かな説明ですので必要ならご覧下さい。)

下記の障害者総合支援法の【  】部分)が根拠。
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第七十六条の二 市町村は、次に掲げる者が受けた障害福祉サービス及び介護保険法第二十四条第二項に規定する介護給付等対象サービスのうち政令で定めるもの並びに補装具の購入等に要した費用の合計額(それぞれ厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に要した費用の額を超えるときは、当該現に要した額)の合計額を限度とする。)から当該費用につき支給された介護給付費等及び同法第二十条に規定する介護給付等のうち政令で定めるもの並びに補装具費の合計額を控除して得た額が、著しく高額であるときは、当該者に対し、高額障害福祉サービス等給付費を支給する。

一号 支給決定障害者等

二号 六十五歳に達する前に長期間にわたり障害福祉サービス(介護保険法第二十四条第二項に規定する介護給付等対象サービスに相当するものとして政令で定めるものに限る。)に係る支給決定を受けていた障害者であって、同項に規定する介護給付等対象サービス(障害福祉サービスに相当するものとして政令で定めるものに限る。)を受けているもの【(支給決定を受けていない者に限る。)】のうち、当該障害者の所得の状況及び障害の程度その他の事情を勘案して政令で定めるもの

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 大阪市としては上記の条文に、「(障害福祉サービスの)支給決定を受けてないものに限る」と読めるので、65才以降に障害福祉サービスと介護保険サービスを併用する人は対象外と読める。他の政令市も厚労省に確認したところ、そう答えたと聞いている」との回答でした。

◇厚労省との確認内容

 厚労省に直接確認したところ、「65才以降に障害福祉サービスと介護保険サービスの併用する者も対象となる。その併用者は一号の支給決定障害者等に含まれており、二号は今回の新たな償還払いの規定だが、一号の支給決定障害者等との重複を避けるために、「支給決定を受けていない者に限る」との文言を入れた。その部分を誤解したと思われる」とのことでした。

(元もと高額サービス費の償還払いの制度は一号にあり、今回新たに介護保険を利用する人の償還払いを二号に加えたために、条文の表記が非常にわかりにくくなったことが、今回の間違いの原因となりました。また厚労省の担当も人によっては誤解して回答した可能性もあります)

 大阪市からも昨日、厚労省に確認をとり、こちらの言った通りで確認できたため、全区に「併用者もOK」とのメールをとりあえず発信しました。大阪市のチラシ等もすべて間違い部分を修正してもらいます。

 大阪市にはこんな排除はあり得ないので、その時になぜ直接厚労省に確認しなかったのか!と伝え、厚労省にも誤解を生む条文の書き方なので、Q&Aの発出をお願いしておきました。
 大阪府には同様に誤解する市があったら助言してもらいたいと伝えています。

◆大阪市での償還払いの仕組み

 大阪市ではこの介護保険の利用料の償還払いは、医療費助成の償還払いと同じく、「償還事務センター」(北区同心町)が、担当しています。

 「65才の誕生日の翌月頃」に、対象になりそうな人に償還払いの案内(利用勧奨)を送っているそうですが、この間65才になった人で、障害福祉サービスと介護保険サービスを併用していた人には通知されていなかったそうなので、再度通知を送ってもらいます。

 もし身近な人で、対象になる人で、誕生日の翌月になっても通知が届いていない方がおられましたら、下記の償還事務センターまでお問い合わせ下さい。

 また、相談支援事業者等が相談に乗ることもありますので、制度の詳細で不明な点はお問い合わせ下さい。(なお、相談支援事業者等に対してもまだ制度の情報提供すらされていませんので、早く通知するよう求めています)

*大阪市償還事務センター (TEL06-6351-8200)
(償還事務センターは障害支援課の1部署にあたり、障害支援課が管轄しています)

◇大阪市での申請手続き

 申請手続きは最初に申請用紙(添付3)にマイナンバーや振り込み口座番号を記入し、障害者手帳のコピーを付けて償還事務センターに郵送。
 大阪市の新高額額障害福祉サービス費(申請用紙)

 以降、毎年1回、6月に申請が必要
(国の規定でも毎年所得の確認が必要なので、それは必要になるそうです)

 しかし、医療費助成とは違って、毎月、介護保険の領収書を郵送する必要はなく、毎月、介護保険で使った分は償還事務センターの方で介護保険担当と連携して集計して、その利用額を口座に後日振り込む仕組みになっているそうです。

 以上、ややこしい制度ですが、どうぞよろしくお願いいたします。


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