特集:「頸損者の慢性期における身体ケアの注意点」 頸損だより2016秋(No.139) 2016年9月11日発送

 
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特集 2016年度大阪頸損連絡会・身体ケア学習会連続講座

頸損者の慢性期における
身体ケアの注意点
~在宅生活での予防と対策~



講師 愛仁会リハビリテーション病院
松岡美保子 先生

2016年2月28日(日)
於:大阪市立総合生涯学習センター6階



愛仁会リハビリテーション病院
〒569-1116 高槻市白梅町5-7
TEL:072-683-1212
FAX:072-683-1272

・JR高槻駅徒歩5分
・阪急高槻市駅徒歩12分


 脊損の医療界ではベテランのドクターが平成22年に愛仁会リハビリテーション病院に来まして、ほぼ同時に、病院も移転して4年になります。そのドクターの勤務と移転があって当院で脊損をしっかりとリハビリテーションさせて頂こうということで平成23年から徐々に脊損の患者さんが増えているという状態です。当院としては脊損に関してはまだ5年位しか経っていない状況です。
 今の日本の脊損がどうゆう状態かというと、高齢者の頸損が増えているというような事ですが、当院に来る人はなぜか最近若くなっている感じです。
 一般的に介護保険を使える65歳以上が半分以上を超えています。このグラフ見ていただくと2014年の所で介護保険使える65歳以上の方が4割ぐらいしかいない、もちろんそれよりも年が若くても2号保険で使える方もいらっしゃいますが、当院は若い方が増えているという状境です。
 ご入院される方の平均年齢もどんどん若くなっています。

 当院の隣には高槻病院があり、近隣には大阪医科大学があるので、脊髄の腫瘍や脊損梗塞の病気の方が結構多かったのが、最近は減ってきて外傷が増えている状況です。
 特に今の日本の中で多いといわれている転倒が減っていて、スポーツ事故が最近急に増えている状態です。
 これは日本全体でスポーツによる脊損が増えている訳ではないです。多いのはロードバイクなどです。そのような怪我で脊損もいますけれど、50歳位で健康を意識してスポーツし、怪我をするような方が結構増えている印象です。
 頸損は現在高齢化が進んでいますが、愛仁会リハビリテーション病院は、結構脊損を診ていることが近隣の病院に知れ渡ったのか、若い方でも入院してリハビリを受けているような状況です。

 院内でも脊損の方が増えてきたので脊損特有のプログラムをということで、色々と組ませて頂いて取り組んでいます。
 脊損患者の数自体も少ないので、みんな経験が少ない医者やセラピストに任せている現状ですので、当院では脊損回診でベテランの医師や看護師、セラピスト、あとソーシャルワーカーが回診をしながら統一したリハ治療をできるようにしています。

 まず日本での大規模な解析が本当に少なく、海外では脊損なって10年後20年後30年後どうなるのかとゆう調査もあるみたいですけど、日本では本当に少ないと言われています。唯一1000例以上の分析がされて発行しているのが、保健文化社から出版している「脊髄損傷の治療から社会復帰まで-全国脊髄損傷データベースの分析から」(2010/9)の本です。
 これは全国にある労災病院と関連施設より寄せられた13年分の脊髄損傷者データをもとに、受傷時および受傷後の状況・症状について集計したものです。

 下位頸損C6以下ぐらいでの生存期間で、例えば61歳以上でけがをされた方は半数が1年以内に亡くなるような統計上のデータが出ています。30歳以下で受傷された方の生存期間は27年になります。これは計算上です。30歳以下の方については6人しか統計が取れていなくて、6人中2人死亡でいずれも自殺です。今こういうデータしかない状態です。


 昔は尿路障害が一番多かったのですが、最近は尿路関係で亡くなる方は非常に少なくなっています。
 今までも多いのが、頸損の方に関しては呼吸障害です。尿路の管理が良くなった分、呼吸の管理でお亡くなりになる方がかなり目立つようになっています。
 生存期間のデータを出しましたが、長生きされる方もたくさんいるので、健常者と同じように悪性化つまり癌と、あと心臓疾患で亡くなる方が2位3位となっています。


 尿路障害による死亡が減った訳は、間欠導尿方法です。日本に入ってきて30年位ですけれども、その30年の間に間欠導尿方法で急激に腎不全に陥る方が減っています。抗生剤もここ60~70年の間でかなり良くなっていますので、尿路感染による死亡も減っている事になります。


排尿管理

 リッチヒルメディカルから出版している「脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドライン」の本が出ています。発行が2011年のことですので確立した医療ができるようになってまだ5年なります。

 「脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドライン」のページから、一番上から書いている全ての脊損者に体の評価をして、良好な排尿が出来ているか出来ていないかで分けていきます。
 良好な排尿が出来ていれば自排尿で良い、出来てないようだったら間欠導尿。間欠導尿が出来ない人は留置とか膀胱瘻を考えていくというようなアルゴリズム(問題を解く手順のこと)で治療方針が決まっていますので、いきなり留置だとかではなく、間欠導尿を考えるような事になっています。
 今でも良好な排尿が得られるのであれば全然問題はないですが、膀胱の辺りの下腹部を軽くたたいて刺激を与え、膀胱の収縮を誘発し排尿を促す”タッピング”もありますが、それも最近は少なくなっています。

自排尿が許可される条件

  • 残尿が100ml以下
  • 膀胱変形や膀胱尿管逆流がない
  • 排尿筋括約筋協調不全を示唆する所見がない
  • 膀胱コンプライアンスが20ml/cmH2O以上
  • それ以外は間欠導尿等での排泄を

適切な尿路管理法が兼ね備えるべき条件

  • 膀胱内を低圧に保つ(自排尿が出来る方はもちろん、難しい方も膀胱内を低圧に保つ為に一定時間に尿を出し、無理にきばって膀胱内圧を上げないようにする)
    →水腎症・腎盂腎炎の危険性を減らす
    →膀胱壁の血流を維持する
  • 異物を用いない(出来るだけカテーテルの入れっぱなしを避ける方向になっています)
    →細菌感染と結石形成の予防
  • 長期にわたって安定している(ただ今良くても来年ダメだったら意味が無いので、長期間に渡って安定していることが重要)
  • 尿禁制が保たれる
    QOLの観点からも想定外の尿漏れを避ける
  • 介助者の負担が少ない

 尿路の安定はだいたい怪我されてから2年位で安定期に持っていけると言われていますので、2年以内に安定したより良い尿路管理の方法を見つけるのが重要なのではと思っています。
 当院では入院中に検査もし、その後のフォローもさせて頂いています。
 いくら間欠導尿が良いとはいえ、長期間で介助者がいないとできないので、頸損の方は膀胱瘻や次の選択肢を選ばれる方がいると思います。

 残尿は100ml以下が良いですが、毎回管を挿入して残尿を量るわけにはいきませんので、残尿測定の機械が当院にはあります。
 最近は一日貼りっぱなしで、どの時間に残尿が多いのか、残尿が少なくなったらどの様な身体の変化が現れるのか見ていくような機械も出ています。


 これも検査の一つですけどもウロダイナミクスというような検査があります。

 このような機械を使って、膀胱の中の圧を調べたり、その時腹圧はどうなっているのか検査をして、排尿法を決めていきます。

 最近は急性期の病院からリハ単科病院、そこから在宅に戻られる方が結構多いと聞きます。リハ単科病院だとこのような機械を置いてないところもあるので、実は検査しないままに尿路管理始められて在宅に戻られるという方も、昔と比べると多くなっているのではないかと心配しています。

 この機械を使って検査をして治療した一例です。
 造影剤を尿道から膀胱の中に入れてレントゲンを撮ることで膀胱の形が分かるようになっています。また膀胱内圧も分かります。膀胱はやわらかく丸い形で通常400ml位溜められます。
 この方の1回目の検査ですが膀胱の形が三角です。これはかなり膀胱内圧が高い期間があったというような事になります。圧が高いと何が悪いのか。一つ目は膀胱の感染症に弱くなるということです。二つ目は腎臓の方に逆流し、それによって腎不全になるということです。この方の一回目の検査では、100mlで失禁してしまいううえに膀胱内圧も高い状態なので常に尿の匂いがするような状態であり、かつ身体にも悪い状況でした。
 薬を出して二か月後に2回目の検査をしました。膀胱はほぼ丸い形の状態になりましたが、専門的には完全には良くないのですが1回目と比べると膀胱も300mlから400ml位溜めることもでき、尿漏れも減少し身体にもいい状態にもっていけたということです。


 間欠導尿の際、このような物を使用したり、使い捨ての物を使うこともあります。



 間欠導尿していると夜をどうするのかが問題で、その都度間欠導尿していると夜眠れない事になりますし、頸損の方は特に夜は尿量も多いと思うので、夜だけ留置をするようなカテーテルがあります。



 左上の風船みたいな所に水が入っていて、それを押して膀胱の中で風船が膨らんで留置できるのですが、頸損の方はどうしてもこれを押しつつ下のクリップを止めるのはかなり難易度が高いく、できない方も多いので、病院にある注射器であったり、点滴の分かれ目のとこに使う器具などを工夫してやり易いようにしたりしています。

 留置カテーテルは医学的に考えると間欠導尿よりはよくないです。
 なぜよくないかというと、ばい菌がずっと入ってるような状態であったり、結石が出てきたり、あと膀胱容量いっぱい溜めないので膀胱が委縮する。長い期間膀胱が小さくなると、今度膨らみにくくなりますので、他の方法に変えようと思っても変えられない。また管が入りっぱなしなので常に尿は出るはずなんでが、カテーテルが曲がっていたりカテーテルにゴミが詰まって閉塞したりすると、膀胱に尿が溜まりっぱなしになります。
 男性では尿道を通していく時に通り道に前立腺があったり、精巣上体からつながる管が出ていて、そこにばい菌が入るというような状態があります。尿道皮膚は尿道と皮膚の間に比較的固いカテーテルが入っているので、そこからちょっと掘れていったようになって皮膚の方にでることも最近は少ないと思いますけどこういう事もあります。
 通り道の問題に関しては尿道からずっと管を入れるのではなくて、お腹の方から管を入れる皮膚膀胱瘻があるんですけども、それによって問題をいくつか回避できます。

 手関節が効いて指がひっかけられるような方であれば自己導尿されていると思うんですけど、年を取るとそれを継続するのも難しいようで、若い時は間欠導尿していたけれども留置に移行というような方も多くなっていると言われています。

 頸損の方は尿の検査で受診や往診で先生に月1回とか3ヵ月1回とか診てもらう方が多いと思います。
 また腎臓の検査を年に1回、エコー検査も1~2年に1回した方は多いかと思います。
 けれども膀胱造影も一応ガイドライン的に1~2年に1回とは言われていますけども、されている方はほとんどいないかと思います。あと特殊な検査することもありますけど、一般の病院にはなかなかないものですので必要な時は、大学病院や大きな病院に行くことになると思います。


排便コントロール

  排便も教科書的なことたくさん書いていますけど、どのレポートを読んでもこれが良いっていうのがないのです。結局結論は個人にあったものがいいと論文では書かれています。


 最近の国際排便学会の考え方はこんな感じになっています。
 左の一番下の部分でうまくいかなければ次の段階に進むようになっています。
 Transanal irrigationですが、昔日本ではお尻から管を入れてお水を500mlとか1000mlとか入れる洗腸方法があり、そのキットも売られていたのですけど、使用方法を間違って使われた方がいたり、売れ行きよくなかったので日本での発売がなくなってしまいました。排便方法としてはすごくいいと思います。お水をたくさん入れて蓋を外すと肛門からお水と一緒に便が出る方法ですが、今はそれがまた見直されてきています。


悪性腫瘍

 頸髄損傷者の死因の推移の2位が腫瘍(悪性化)で、膀胱がんと皮膚がん(褥瘡がん)です。そして3位が心障害です。
 脊損の資料を集めたものではないのですが、

  • どの部位の腫瘍が多いかの報告はみあたらず(本邦)
  • 労災では、脊髄損傷との間に因果関係が認められるものとして、皮膚がん(褥瘡がん)と膀胱がんが認められている

 20年ほど前の統計ですけど、膀胱がんの発生までの期間は大体20年です。半数以上の方が血尿を主訴して来られている。細胞腫も見つかりにくい事もあるので、膀胱鏡やエコーを行うべきと言われています。
 ただ血尿1回2回は絶対皆さん経験されていると思います。私も通常の診療で血尿出ても焦らないです。こういうこともあるので、特に長い経過のなかで血尿が続くような事があった場合は要注意です。膀胱がんの経験は未だないですけど、前立腺がんは見つけたことがあります。

 20年ほど前の論文ですけど、怪我や病気してすぐできた褥瘡で1回治ったのに、また同じ所に汁が出てきて治りが悪いと思ったら、皮膚がんの良くあるパターンです。
 褥瘡が悪性化するまで平均26年で、先ほどの膀胱がんと併せて考えてもやはり20年以上過ぎる(年をとる)と、色々と身体にガタがくるので、気にしなくてはいけない事が次々とでてきます。

 その2つが頸損に特有のがんではあるのですが、数としては少ないです。やはり発生頻度の多い大腸、肺、胃で、頸損だからならない訳ではないので、頸損の方特有の皮膚や膀胱はもちろん注意は必要ですが、大腸、肺、胃に関しても注意が必要です。

 これは胃がんの発見が遅れた高齢者不全脊損者の症例のレポートが書かれていますが、現在大腸がんが見つかるのは健康診断で、便に血が混じっているので検査したら分かったり、お腹が痛いとか最近便秘みたいな自覚症状があればいいのですが、頸損の方は痛みが分かりにくいので、なかなか大腸がんを見つけにくいです。
 このレポートでは顔色悪いとか最近食欲がないと思ったら、そういうこと念頭に置いて検査しましょうと書かれていますが、病院に行って最近こうなんですと言っても、ちょっと様子見ましょうで終わることが多いと思いますので、是非ご自身の方から症状が出にくい、まだ症状は少ないけれど精密検査をしてもらえませんかと一言いただいた方がいいのではと思います。


生活習慣病

 頸損の方は動かないのでエネルギーの消費できないとか、筋肉の委縮に伴い基礎代謝が下がるから発汗などの体温調整が困難でエネルギーの消費がないです。
 そういうことがありますので生活習慣病の発生率増加が推測されることになります。

  メタボリックシンドロームの基準ですが、必須項目としてウエスト周囲径で男性85cm以上女性90cm以上です。それから採血上の脂肪分の値、血圧の値、血糖値をチェックしましょうという事になっています。このメタボの基準は健常者の基準です。

  頸損はどうなのか、なんと調べた方がいます。
 この通常のウエスト周囲径の決め方はお腹の中の内臓脂肪が100平方センチを超えると危ないとされています。
 頸損の方は腹筋もないので、結構お腹が太い方多いと思います。頸損胸損のお腹の中の内臓脂肪を測定した結果、80cmまでとなります。なので頸損の方は測ると、メタボの必須項目に引っかかる方が多分多いと思います。

 先ほどのメタボの基準に合わせて脊損者はどうなのか、血圧に関して健常者で70%位血圧高い方がいるのに対して四肢麻痺、頸損の方は33%で少ない。
 ただ糖尿病と高脂血症に関して、特に高脂血症に関しては四肢麻痺、頸損の方は多いです。

  頸損は血圧が低い方が多いと思いますけど、特に不全の方は血圧低いと安心していると、年を取ってきてお酒を多く飲んだり、太ってきたり喫煙をしていると、高血圧になるので注意が必要と言われています。


 糖尿病はいろいろ調べていくと一般人口よりも多い傾向と言われています。


 動かない人でも内臓脂肪減らすことができる研究が出ています。
 この2つの図はエルゴメーターで、左上の図が寝た状態からそのまま起立して、勝手に足が動く機械です。下の図は車椅子に座ってセットすると足を勝手に動く機械です。
 これらで動かない所、他動的かつ律動的一定のリズムで継続して動かすと、麻痺域含めた全身運動が可能であり、中性脂肪が減り善玉コレステロールが増えることが出てきます。これも何百人何千人とした訳ではないので皆に当てはまる訳ではないけど、一つの可能性として私も含めて考えていきたいと思っています。
 ただこんな大きい機械は家に置けないですし、ほとんどの病院にも置いていません。

 これもエルゴメーターで電動サイクルマシン「エスカルゴ」という製品です。これはコンパクトで通販購入でき、価格3万5千円程で売っています。
 当院でも購入を考えていますが、隣の高槻病院にはあり、特に頸損に使うとかではなくて急性期で全身状態がとても悪い人でも足は動かしていた方がいいだろうということで、ICUの部屋に置いています。ICUで寝たきりの時からどんどん動かしていく治療をしています。

 10年20年経つと、どうしても体力が落ちてきます。皆さんはできればスポーツしなければならないという風に言われています。
 脊損者の体力とかスポーツに関しては和歌山医大が一番研究進んでいます。そこでの研究でも必ずしなければならないと言われています。
 ただC4だと出来ないですがC6とかの方は出来るだけレクレーション程度でかまわないので運動は必ずしましょうと通勤レベルでは駄目だと言われています。

 一番初めにご紹介しましたけど、当院では入院中からスポーツに慣れてもらう為にスポーツ療法をしています。
 過去、当院に入院されたAさんC7位だったと思いますが、当時は起立性低血圧がひどくリクライニングの車椅子を使用していました。1年位入院されている間に、徐々に車椅子も小さくなりスポーツ療法を通じて車椅子操作がとても上手になり、体力もついて、スポーツ療法はかなり良いのではと思って取り組んでいます。
 先日ツインバスケの試合を見に行く機会があり、そこでAさんが選手として出ていまして、その成長ぶりにびっくりしました。
 スポーツ療法をきっかけにスポーツに馴染んでくれる人が出てくれてうれしく思いました。

 大阪には3つの障害者スポーツ相談ができる場所がありますので、ご活用して下さい。

  • 大阪府立障がい者交流促進センター ファインプラザ大阪
    〒590-0137 堺市南区城山台5丁1番2号
    TEL:072-296-6311
    FAX:072-296-6313
  • 大阪市長居障がい者スポーツセンター
    〒546-0034 大阪市東住吉区長居公園1-32
    TEL:06-6697-8681
    FAX:06-6697-8613
  • 大阪市舞洲障がい者スポーツセンター
    〒554-0041大阪市此花区北港白津二丁目1番46号
    TEL:06-6465-8200
    FAX:06-6465-8207

 自主練でC4以上はちょっと厳しいかと思いますが、動く所だけでも動かそうということです。それと頸損の方にとって動く所をフルに使うという意味では、自走訓練が一番だと思います。
 当院ではC5から自走訓練を毎日やっているような状態です。


痙縮

 痙縮でお困りの方も多いかと思います。今までは飲み薬で何とかごまかしてきた方も多いかと思いますが、2010年あたりから新しい治療法が出てきていますので2つ紹介します。


 痙縮治療で古典的には内服薬で、全身に効いて飲むのを止めたら終わるというような可逆的な治療が中心です。


 これはボツリヌス毒素の注射を痙性の強い筋肉に打つというような治療法(ボトックス治療)で、筋肉の緊張をやわらげることができます。


 もう一つはバクロフェン持続髄腔内投与(ITB療法)で、これは手術が必要なので気軽に出来るものではないですが、今まで内服薬を飲んでいたものを直接脊髄の方へ入れる治療法です。
 一回脊髄注射しても短時間しか効かない。かといって毎日背中に脊髄注射する訳にもいかないので、脊髄に少しずつ入れるようにポンプを体の中に埋め込んで、そこからチューブを出して脊髄の方に薬を入れていく治療になります。
 ポンプは大体10cm位です。ポンプ内に薬が入っていて少量ずつ24時間持続して脊髄腔に注入し、無くなったら皮膚の上から注射液を補充していくような感じです。

 こういう治療が出来る病院は決まっています。日々増えているかもしれませんが。
 当院では手術はしていないので他の病院で行い、薬の調整に関しては行えます。
 当院での脊損に対するこの手術をお勧めして経過を診ている方はまだいないです。
 先日私が主治医させて頂いた方が他の病院で手術されて、来週当院に入院されますので、経過をよく診せていただきたいと思っています。


疼痛

 痛みについて3つの痛みがあると言われて、痛みを3つに分けて考えるようにしています。
 侵害受容性疼痛は今起こった切り傷、打撲、骨折、火傷など刺激されて起こる急性の痛みです。
 切り傷、打撲、骨折、火傷などした訳ではないけど痛いと感じる方、頸損の皆さんはこれに該当する方が多いと思います。
 神経が問題になって痛む、それから心の問題も相まって痛む、一応3つに分かれていますけど、3つは往々にして重なると言われています。
 例えば侵害受容性疼痛はある程度治るのですが、神経障害性疼痛は神経が障害されて痛みが生じて、痛みの種類を見分けることは大変難しいです。

 神経障害性疼痛に関して、昔はロキソニンなどを飲まれていたかもしれませんが、ここ10年未満の間に神経障害性疼痛に効く薬が出てきています。
 よく使用されているのがリリカです。またトラマール、トラムセットの薬も使用されています。それから昔からあるアセトアミノフェン(カロナール)で皆さんご存知かもしれませんが、日本は海外に比べてかなり少量しか処方できなかったのですが、ここ5年位でたくさん出しても良いなり、特に高齢者には副作用が比較的少なく出せる薬ということで諜報されています。

 神経障害性疼痛のガイドラインがあります。
 第一選択、第二選択、第三選択と痛みのある人に処方の仕方が決まっています。


 皆さんは保険適応が大事で、現在第一選択としてはリリカになり、第二選択は効きが弱いけど副作用が起こりにくいノイロトロピンの薬が見直され、第三選択のトラムセットなどあります。比較的新しい薬でリリカとトラムセットはかなり痺れや痛みに関して、私自身の印象としては患者さんにかなり喜んで頂いてる薬と感じています。


 リリカは副作用で低血圧がありますので、頸損で血圧がかなり低くなっている方には、使いにくいと思います。


 トラマール、トラムセットの薬は血圧下がることは少ないですが吐き気が強くなります。ちょっと麻薬に似た成分を使用しているので、怖いと思われる方がいるかもしれませんが、腎臓に対する悪さはかなり少ないので、高齢者に凄く使い易い薬になっています。


自律神経過反射

 皆さんご存知だと思いますが、自律神経過反射で、どうしても救急車呼んで病院に行くことになった場合の話ですが、医者でも頸損の自律神経過反射を知っている方は多くないです。
 ご自身の口で説明をしていただく必要があると思っています。


呼吸

 呼吸に関しても、金原出版から出版している「神経筋疾患・脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガイドライン」の本が出ています。発行は2014年です。

 人工呼吸器に頼らなくてはならない方もいますが、そうではなくて人工呼吸器を使ってないけど、それでも呼吸器の問題で亡くなる方が多いので、皆さん風邪には注意していると思われます。
 しかし何が問題か?

  • 一つ目は横隔膜で息を吸う時に動く筋肉の機能低下です。もしくは横隔膜がしっかりしていても、腹筋が効いていないので強く吐けず呼気筋力が低下します。そうなると吐く力が弱いので空気が少ししか入らないし、強く咳が出せなくなる。
  • 二つ目は胸郭の周りの筋肉が固くなる。そうすると痰が溜まりやすくなり出しにくくなる。
  • 三つ目は肺炎、無気肺、最悪窒息になります。
    どうしたら良いのか、それには肺を広げるのと痰を出すのに専念しましょうということになります。

 当院では何とか肺を広げて痰を出すことを、リハの初心者である頃から慢性期につなぐまでやっていこうとしています。

 これは簡単な検査で咳の力が今どれぐらいあるのか、患者さんご自身に知っていただく為に必ず頸損の方もしくは上位胸損の方に関しては、咳の力を量るようにしています。
 右下の図がその全容で簡易なものです。口でくわえて咳をするように思いっきり吹きます。そうすると左上の図のバーが上がる仕組みで、私でだいたい400位まで上がり、男の先生だと500から600位上がります。
 これが160あれば、さらさらの痰とか唾液詰まった程度なら出せます。風邪をひいて鼻水が垂れこんだり、肺炎で痰が溜まりどろどろしたものを出すには、270ないと出せないので、あなたは今サラサラの痰なら出せますか、それともねばねばの痰でも出せますかって事をご自身で知っていただくようにしています。

 サラサラの痰すら出せない位の方だと、なかなか自分で痰が出せないので危険です。
 その場合痰を出すために機械を使う事になります。
 これはマスクを口に押しつけて一気に空気を入れ、その後一気に空気を出し(吸引)自然な咳を補助して痰を出すような機械です。

 これは肺内パーカッションベンチレータで、肺の中に細かいジェット流を入れて、肺の奥の方に詰まっている痰を押し出して、自分の力で出すような機会です。
 ただ在宅で使えるのは肺内パーカッションの方が、保険が通りやすいです。
 人工呼吸器を使われている方は①の機械が保険で使えるので、こちらを併用して使うような事になります。

 最後に当院では脊損外来で、毎週月曜日の午後に予約制で1日2人診察しています。主治医からの紹介状やデータなどがあればなお助かります。 
当院でできることは

  • 尿路評価
  • シーティング
  • 座圧測定
  • レスパイト入院(自宅療法を受けている患者の家族が、一時的な外出や休憩、その他の介護を続けられない期間をサポートする目的で行われている医療サービス)脊損の方のレスパイト入院も受けています
  • 疼痛・痙縮の薬見直し
  • ボトックス
  • ITB相談

 このレスパイト入院の間に、普段できないCT検査など保険診療の中ではありますが、健康診断代わりの事も少しはさせて頂けると思います。


質疑応答(Q&A)

【Q】新しく出てきた鎮痛薬で近所の小さな病院では処方は難しいのでしょうか。
【A】リリカとトラマドールは、一般的に出ている薬ですが、処方したことがない薬だと医者は誰でもハードルが高くなってしまいますので、処方しにくいかもしれません。ただ継続の処方とかであればどの病院でも出してもらえると思います。

【Q】リリカとトラマドールの処方に関しては、カウンセリングを細かくやらないと厳しいですか。
【A】ドクターにもよると思いますが、今飲まれている薬の内容で痛みが切れてないので、もっといい薬がないのかという事で、神経障害疼痛が大きいだろうと判断がないとなかなか処方してもらえないと思います。いくつか注意点があり例えば高齢者なら使いにくいとか、腎臓が悪いと使いにくいという事があります。

【Q】受傷して15年経ち最近腰痛がひどく、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は働いていた頃から治療していましたが、頸損になり座位姿勢がお尻を少し前にずらして座っています。腰痛に関して頸損は別レベルで考えた方がいいのでしょうか。
【A】まず腰痛は健常者でも多いです。当院で脊損外来に来られるほとんどの方が初診で、頸損3年目位は腰痛を訴える方は少ないですが、10年越すと腰痛で来られる方が多いです。当院ではもちろん検査をして腰痛になるような病気があったらもちろん治療しますが、そういう事ではない方に関しては車椅子を変えたり、車椅子のシーティングなど背張り調整を、今取り組み始めたところです。腰痛に関しては長期にわたって座位姿勢や動けない事によって、だんだん負荷がかかっているのかもしれないです。

【Q】腰痛に関しては姿勢以外に薬を使用する事になるのでしょうか。
【A】本当に薬を使用したくないのであれば、ストレッチなど指導させていただきますが、それでも駄目な場合は薬を使用する事になります。

【Q】血圧についてですが、僕はC5の完全麻痺でたまに160とか200超えたりする時があり、内科の先生に薬を出していただき、その薬を飲むと下がりすぎてしまいます。血圧の薬は飲み続けなければいけないのか、それから例えば血圧測定で1回でも200を超えると飲まないといけないのか、それとも測定1回目で200を超え次に測定したら80位になった時は別に飲む必要ないのか教えていただけますか。
【A】基本的にC5の完全麻痺だと血圧低いはずだと思います。高くなる理由を考える必要があり、1つは神経以外に血圧を高くするような病気があるか、もう1つは血圧が上がったり下がったりするようであれば自律神経過反射を考えなければいけないと思います。

【Q】最近は車椅子からベットに移って寝た状態(仰臥位)の時に、測ると結構高い数字が出て顔がほてったりして、それからすぐに時間がたてば引いてきます。別の疾患はないと思いますが、こういう症状があります。
【A】起立性低血圧の反対が起こっていると思います。ベットに移る時にできたらギャッジアップをしておいて、ゆっくりおろしながら寝るような事で対応していかないといけないと思います。足の方から血流が一気に心臓の方に戻ってきていると思います。

【Q】その時は薬を飲む方が良いですか。
【A】飲まない方がいいと思います。下がりすぎる時間の方が長いと思います。このような場合はあまり頓服ではだしていません、工夫でいけるところであれば良いのですが。尿が溜まっている過反射で血圧が200で30分以上続くとかなら、先に飲んでもらいその後の対処法を考えます。例えば褥そうになって常に過反射状態になっている場合は、それを解除するまでの時間が足りないのであれば飲んでもらいます。

【Q】間欠導尿と留置カテーテルでは間欠導尿の方がいいのでしょうか。
【A】間欠導尿できるのであればいいと思います。ただ時間がかかるとか難しいとか前立腺が大きくて入らないとかいろんな問題があり、絶対間欠導尿が良いとは個人差もあるので言えません。

【Q】レスパイト入院とはどういう入院でしょうか。
【A】レスパイト入院は基本的には介護する人の休みを取るための入院って意味ですけど、その期間を使ってご本人の検査やリハビリをさせていただいています。

【Q】便のことでお伺いしたいのですが、酸化マグネシウムを1錠何グラムか覚えていませんが3錠飲んでいるので、血液検査をしたら正常値ですが正常値の最高値と言われました。正常値の最高値は良くない事でしょうか。
【A】正常値の範囲内であれば問題ありません。酸化マグネシウム(カマグ)の量を適正量にしていれば高マグネシウム血症に遭遇することはまずありませんが、高マグネシウムになると不整脈がまれに起こることがありますけども、大概の方が正直測ってないので上限をかなり超えたら止めることを選択しますが、なにもなければ続ける選択になると思います。
服用を長く続けていると血中のマグネシウム濃度が上がってくることがありますが、代謝がうまくいっていると上がらないです。自分の代謝の能力を超えてマグネシウムを投与されると上がってしまいますが、何年飲んでいたら上がるというのは、一概に言えないです。マグネシウムの値が心配であれば、定期的に検査せざるを得ないと思います

【Q】血圧の事で僕の血圧は通常かなり低い状態ですが、たまに高い時があります。今も結石があり結石と血圧の関係はあるのでしょうか。
【A】結石があるからと言って必ず皆さんが上がるわけではないです。ただ結石がその時にちょっと詰まっていたり、もしくは本来なら痛みとして感じるような動きをした時に血圧が上がると思います。結石が腎臓にありじっとしているようであれば、そんなに血圧変動がないと思うのですが、結石が膀胱内に落ち本来であれば痛みがある状態の時に上がるのではと思います。

【Q】僕は星ヶ丘の方に長い間通院していたのですが、現在10年位近くの病院で診てもらっていますが、一度専門の先生に診てもらった方が良いと言われ、愛仁会の外来ではどの程度まで薬の見直しや尿路の評価やシーテイングや座圧測定など、僕も長い間座っていると褥そうはないのですが、多少赤みも出ますので外来でどこまで診て頂けるのか。
【A】1回目は紹介状持ってきて頂いて診察して、おそらく2回目に予約をとって尿路の検査する感じになると思います。一気に全部が出来ないので3回目に例えばですけども座圧測定と業者がいる日であればちょっと背張りを調整したりなど簡単な方法で対応できるのであればそこまで出来るかなと思います。通院も大変と思うので1回まず来て頂いてご相談して、レスパイト入院という枠を使って(2週間)その間に出来る検査や薬の見直しが出来ると思います

【Q】僕は頸損歴20年超えていますが、結構全身が急に痺れる事あります。そもそも完全損傷なので手足に感覚がないのに痺れ自体が本物なのか?ずっと疑問に思っていて、できれば痺れない方法があれば教えてほしい。
【A】医者はファントムペイン(幻影痛)なんかよくわからない痛みでかたづけられる事が多く、実際解明されてないです。幻影痛とは切断した四肢などの感覚や痛みを感じること(脊髄損傷で四肢切断でなくても)。今有力なのは不快な刺激があって痛みがあり、通常であればそれを抑え込むのですが抑え込めなく痛みだけをなんか感じてしまう説があり、なぜ痛みがでるのか痺れがでるのか分からないです。

【Q】ほんとうに痛みや痺れを感じているのですか。
【A】脳が痛いとか痺れと感じているのだと思います。感じていることは嘘ではないですが、ただこれがちょっとファントムの所だと思います。
ただ痛みを脳で感じるところを弱めるって意味では抗うつ剤になってきます。別にうつではないのですが痛みを感じる値を減らすとかです。ただ痺れに関してはちょっと自信ないです。灼熱感の痛みに関しては、処方させて頂いて良く効いたってことありますけども、痺れとかに効くかどうかは分かりません。

【Q】全身がすごくだるくなることあって、恐らく低血糖ではと勝手に自己診断してチョコレート食べたりします。糖分とってしばらくすると落ち着くのですが、それは低血糖で正しいのか。あと糖分とることによって、逆に血糖値とかも気になってくるのでどうなのか。
【A】頸損だけで発作的に低血糖になることはないと思います。自律神経の障害ではなく、ホルモンの影響が大きいので起こるかも。一度検査した方が良いと思います

【Q】マグネシウムの話が出ていましたが、私はマグミットを飲んでいます。泌尿器の先生が長期間飲み続けると腸が長くなり膨張すると聞きました。実際にそういう患者さんがいたらしいです。そういうお話し聞かれたことありますか。
【A】カマグで長くなるか分からないですけど、やっぱり耐性は出来る事が多いと思います。代わりに何か効く薬がありますかっていう時に、プルゼニドやラキソベロンはよく使われていると思いますが、カマグは効き方が違うのでださざるを得ないと思います。最近ではアミティーザという薬が出ていて、それも便をやわらかくしたり便通を良くする薬なので心配であればアミティーザを併用することも1つかなって思います。

【Q】私の先生はシーティングの事とか神経内科の先生もご存知ないので、シーティングは生活の中で重要的なものなのでしょうか。
【A】長年同じ姿勢をしている事じたいが、やはり人間の体の活動としては良くないので、できるだけ動けるところを動かせるようにコンセプトにシーティングをやっています。ただ長い間その座り方に慣れている方を、急にこれが良いから変えると多分凄くしんどくて生活しづらくなると思うので、変えるのであれば少しずつで、ただ車椅子を作成すると6年変えられないので、そこを見通して作成する事は難しいと思います。

【Q】痙性(けいせい)の問題で、今僕はリオレサール朝晩1錠飲んでいます。車椅子に座っている時はちょっとましなんですけど、ベットに移乗する際お腹と膝を曲げてゆっくり伸ばしてもらいますが、その後はベット上で跳ね回っているような状態になり、呼吸を整えながらリラックス動作を自分で意識しながら落ち着いていく様にしています。この中でも睡眠3時間置きに凄い痙性がおきて、その都度目が覚めるの繰り返しでリオレサールの数は増やしたくない、できれば薬を減らしたいと思っていますが、少しでも眠りを深くしたいと思えば薬自体を考えていく事は大切なのでしょうか。日常生活をゆっくり過ごすというか結構年を取ってきて凄くしんどくなり体もついてこないので、その辺りを考えていく時期にきていると自分の中で思っているのでアドバイスがあれば教えて下さい。
【A】痙性も悪い事だけではないので、ある程度残しておきたいというのが医者の判断にはあります。ただ睡眠を妨げるとか動作に影響するのであれば落としていきます。リオレサールも1日9錠までは出しているので、2錠だと多くはないと思います。ただ脊髄に入っている量は少ないです。手術で脊髄に直接入れる方が薬の量としては100分の1位で済み副作用も起きにくいですが、手術による副作用であったりポンプの調子が悪くなったらと問題はあるので、慎重に選ばないといけないですけど、この方法も1つと思います。あとは夜間の事だけならリオレサールを増やすとか、筋弛緩作用プラス睡眠に影響のあるデパスとか違う薬でダントリウムも1つの方法と思います。
 ただその痙性が起きているから体位変換しなくても、褥そうができていないってことも多分あるのではと思うので、一概にぐっすり眠っていいのかどうかも考えないといけないと思います

【Q】今膀胱瘻をしています。ストーマとITBも含めお腹に3つ増設はできるのでしょうか。
【A】盲腸ポートとITBを考えている方がいましたが、どちらか1つしか選択できないと聞いたことはあります。

【Q】尿の袋が青くなることがありますが、それは便秘状態の時に出てきた菌か何かがビニールと反応しているのですか。また治らないものですか。
【A】紫バック症候群の事で、便秘解消してもなかなか性炎する人多いです。一回なると性炎結構長く続く人も多いです。医学的には影響ないと言われています。

紫バック症候群について
 便が腸内に溜まると腸内細菌が増殖し、便中のトリプトファン(アミノ酸のひとつ)がインドール(便中にある糞臭のある物質)に分解されます。
 インドールは腸管から吸収され、肝臓で硫酸抱合されてインジカン(無色の水溶性有機物質)となり、尿から排泄されます。
 インジカンは尿中の様々な細菌によりインジゴブルー(青色色素)とインディルビン(赤色色素)に分解されます。この2つの物質は水には溶けませんが、プラスチックやポリマーに溶け込む性質を持っているために、プラスチック製の尿バックや導尿チューブにも色が付くことになります。


参考サイトへのリンク
脊髄損傷における排尿障害の診療ガイドライン
神経筋疾患・脊髄損傷の呼吸リハビリテーションガイドライン
全国脊髄損傷データベース | 吉備高原医療リハビリテーションセンター


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