特集:事例から探る医療費助成制度改革 頸損だより2017冬(No.144) 2017年12月17日発送

特集
事例から探る医療費助成制度改革

平成30年4月より府の補助制度が改正
自己負担額が増える!

1.福祉医療費助成制度について

平成30年4月から大阪府内の障害者の医療費の制度が変更されます。
※但し、生活保護を貰っている人は、「医療券」によって無償のままです。

●これまでの対象者
○子ども(乳幼児)
○ひとり親家庭(18歳までの子とその監護・養育者)
○高齢者(老人)(65歳以上の身体・知的障害者、難病患者、結核患者、精神通院)
○障害者(身体・知的)(身体障害者手帳1~2級所持者、重度の知的障害者(療育手帳A)、中度の知的障害(療育手帳B1)と身体障害者手帳(3~6級)を両方持っている人)
※訪問看護は助成対象外
※1医療機関の上限日数は月2日まで(1回500円、1医療機関1,000円まで、多機関で月額上限2,500円)
自己負担額が2,500円を超えた額は、申請により超過分の払い戻し(償還払い)を受けることができます。

●平成30年4月からの対象者
○子ども(乳幼児)
○ひとり親家庭(18歳までの子とその監護・養育者)
※現行のまま(1回500円、1医療機関1,000円まで、多機関で月額上限2,500円)
※ひとり親家庭についてはDV被害者にも拡大
○高齢者(老人)(65歳以上の身体・知的障害者、難病患者、結核患者、精神通院)
※老人医療は廃止 平成30年3月31日時点での老人医療対象者については、経過措置として平成33年3月31日まで引き続き助成対象となります。
○障害者(身体・知的)(身体障害者手帳1~2級所持者、重度の知的障害者(療育手帳A)、中度の知的障害(療育手帳B1)と身体障害者手帳(3~6級)を両方持っている人)
自治体によっては、更に広い範囲をカバーしているところもあります。
・精神障害者保健福祉手帳1級所持者(新規)
・指定難病(特定疾患)受給者証所持者で障害年金(または特別児童扶養手当)1級該当者(新規)
※精神病床への入院は助成対象外、平成30年3月31日時点での福祉医療費助成制度対象者(法別番号90の助成対象者を除く)については経過措置として平成33年3月31日まで引き続き助成対象となります。
※「訪問看護」は助成対象
※1医療機関の上限日数なしで毎回500円になり、新たに調剤薬局も1日500円以内の自己負担。多機関で月額上限3,000円(訪問看護利用料合算)
自己負担額が3,000円を超えた額は、申請により超過分の払い戻し(償還払い)を受けることができます。

2.訪問看護について

●訪問看護は福祉医療費助成制度の対象外で、重度障害者訪問看護利用料助成制度のみで助成が受けられます。(一部の市町村を除く)

平成28年12月診療分までは、医療保険適用後の自己負担額1割を支払い。
各市町村にもよりますが、保険適用後、自己負担分3割をお支払した方は、重度障害者訪問看護利用料助成の申請をして2割分を払い戻します。

平成29年1月からは、訪問看護ステーションを利用した場合の一部自己負担額が変わりました。
平成29年1月診療分からは、1訪問看護ステーション利用につき、自己負担額を「1割」から「500円/日」に軽減
※1日につき最大500円の負担となります。(500円に満たない場合は、その満たない額とします。)
※同じ訪問看護ステーション受診なら、1ヶ月の負担は2日目(1,000円)まで ※3日目以降は無料
※複数の訪問看護ステーションを受診した場合は、1ヶ月の負担は上限2,500円
※各市町村にもよりますが、自己負担額が2,500円を超えた額は、申請により超過分の払い戻し(償還払い)を受けることが出来ます。(医療費との合算はできません)

●平成30年4月からは、福祉医療費助成制度に統合し、福祉医療の対象である全ての方が、派遣元を問わず、訪問看護(医療保険分)の助成を受けられるようになります。

平成30年4月診療分からは、1訪問看護ステーション利用につき、上限日数なしで毎回500円になります。(500円に満たない場合は、その満たない額とします。)
※複数の訪問看護ステーションを受診した場合も、上限日数なしで毎回500円になります。
※各市町村にもよりますが、福祉医療費助成制度に統合するので、複数の医療機関等を受診した場合の月額上限額は3,000円で、自己負担額が3,000円を超えた額は、申請により超過分の払い戻し(償還払い)を受けることが出来ます。(医療費(薬局での負担を含む)・訪問看護利用料合算)

どう医療費(自己負担額)が変わるのか?(図で簡単に説明)

●1回の受診での医療費支払い
●同じ医療機関に複数回受診した場合の医療費(自己負担額)
●1ヶ月の自己負担上限額
※訪問看護を利用している場合

大阪府福祉医療費助成制度の見直しで負担が増える!? 大阪府保険医協会(PDF)を参照してください。

3.事例から見えてくる自己負担額

(16名からの情報)
●現在、1ヶ月の自己負担額の人数 ※訪問看護は含まず (図1)
●現在、1ヶ月の医療費の自己負担額の割合 (図2)
図2を見て分かる様に、今回の調査では月に1,000円の自己負担の方の割合が多く、次に1,500円です。
今回の調査では16名の情報ですので、障害者全体での自己負担額の割合は違っていると思われます。
●自己負担額別の方の掛かりつけの病院について ※16名の中から選出(図3)
図3では、自己負担額が1000円で3件以上病院に掛かっている方もいますが、16名の調査では労災の方もいます。(労災では1件だけ医療費なし)また、年6回や年1・2回や月2回の方もいます。

事例をもとに自己負担額がどう変わるのか

※頻度について(2週1回は最大月3回受診、4週1回は最大月2回受診として計算)
Aさん

診療科

頻度

自己負担額

泌尿器科

41

毎回

現在

1000

1000

今後

1000

1000

2000

Aさんの場合、今後は毎回薬を処方しているので、1,000円の負担が必要になり、月の自己負担額は2倍になり2,000円必要になります。

Bさん

診療科

頻度

診療科

頻度

自己負担額

皮膚科

1

毎回

内科

2

毎回

現在

500

1000

1500

今後

500

500

1000

1000

3000

Bさんの場合、今後は毎回薬を処方しているので、1,500円の負担が必要になり、自己負担額は2倍になり3,000円必要になります。

月額上限は3,000円なので払い戻しはできません。(償還払いできない)

Cさん(訪問看護も利用)

診療科

頻度

自己負担額

泌尿器科

21

毎回

現在

1500

1500

今後

1500

1500

3000

訪問看護

頻度

自己負担額

2

現在

1000

1000

今後

4500

4500

Cさんの場合、今後は毎回薬を処方しているので、1,500円の負担が必要になり、医療費の自己負担額は2倍になり3,000円必要になります。

加えて訪問看護も福祉医療費助成制度の対象になるので、4,500円も合算され、合計7,500円の自己負担額が必要になります。月額上限は3,000円なので上限超えた金額は役所に行って手続きを行えば払い戻しができる。(償還払い)

Dさん(訪問看護も利用)

診療科

頻度

診療科

頻度

自己負担額

泌尿器科

2

ときどき

整形外科

3ヶ月1

毎回

現在

1000

500

1500

今後

1000

500

500

500

2500

訪問看護

頻度

自己負担額

7

現在

1000

1000

今後

15500

15500

Dさんの場合、各診療科に掛かる頻度が違い、薬も毎回やときどき処方しているので医療費が多い月をもとに計算すると、今後は現在より1,000円増えて2,500円の自己負担が必要になります。

加えて訪問看護も福祉医療費助成制度の対象になるので、15,500円も合算され、合計18,000円の自己負担額が必要になります。月額上限は3,000円なので上限超えた金額は役所に行って手続きを行えば払い戻しができる。(償還払い)

Eさん(訪問看護も利用)

診療科

頻度

診療科

頻度

整形外科

1

毎回

泌尿器科

41

毎回

現在

500

1000

今後

500

500

1000

1000

診療科

頻度

診療科

頻度

自己負担額

内科

2

毎回

歯科

1

なし

現在

1000

500

3000

今後

1000

1000

500

5500

訪問看護

頻度

自己負担額

2

現在

1000

1000

今後

4500

4500

 Eさんの場合、現在の医療費の自己負担額は3,000円で、月額上限は2,500円なので上限超えた金額は役所に行って手続きを行えば払い戻しができる。(償還払い)

今後は各診療科で薬を毎回処方や薬の処方なしもあるので、医療費の自己負担額は5,500円必要になります。
加えて訪問看護も福祉医療費助成制度の対象になるので、4,500円も合算され、合計10,000円の自己負担額が必要になります。月額上限は3,000円なので上限超えた金額は役所に行って手続きを行えば払い戻しができる。(償還払い)
ただし、Eさんの場合は現在の医療費の自己負担額は2,500円で訪問看護の自己負担額は1,000円になるので、月の自己負担額は3,500円になり、今後に関しては月額上限3,000円なので500円減ります。

事例から見えてくるものは、確実に自己負担額が増えます。たとえわずかな額でも塵も積もれば山となり、歳を重ねると病院に掛かる数も増えるのではないでしょうか。そうすると生活する上で大きな負担になるでしょう。
また訪問看護を利用している方は月額上限で償還払いがあるとはいうものの、はじめの自己負担額が大きすぎます。
今回の調査では、確実に償還払いが増えます。

「償還払い」について
今回の「償還払い」とは、医療機関の窓口などで支払いして、1ヶ月の全部の合計が3,000円を超えた分を返してくれるという仕組みです。
※(医療費(薬局での負担を含む)・訪問看護利用料合算)
考えられるやり方としては、以下の3つが考えられます。

1.自動償還:利用者の口座を登録しておいて、月3,000円を超えた額を自動的に振り込む方法。利用者も役所も手続負担が少ないが、一月目の振り込みは最短でも4~5ヶ月先になる。但し、他府県の病院は対象外。
2.郵送償還:利用者が領収書や申請書をまとめて役所に郵送し、それに基づいて月3,000円を超えた額をもらう方式。書類等に不備があった場合は何度もやりとりしなければならないなど、利用者も役所も負担あり。(現在、府内37市町村で対応可能らしい)
3.窓口償還:領収書を持って役所の窓口に出向いて手続き。負担額がかさむ場合などは、毎月役所に行かなければならず大変。移動支援等、介護の確保も必要になります。

自動償還の実施予定については、現時点で「43市町村中37市町村が導入する方向」となっているようですが、始まってみないと分かりません。

大阪府にお住まいの方は、一度シュミレーションして自己負担額がどのくらいになるのか、確認してみて下さい。
そして償還払いが必要であれば、どのように償還払いの手続きが必要なのか各市町村に問い合わせして下さい。
障害がある私たちにとっては、窓口償還や郵送償還(切手代や封筒代も自己負担)を毎月おこなう作業は大変です。
各自が市町村に自動償還実施を働きかけて頂く事が大切です。


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