特集 2016年度大阪頸損連絡会・身体ケア学習会 頸損者が見落としやすい日常生活の注意点 ~見えない負担の予防と対策/Part2~ 頸損だより2017秋(No.143) 2017年9月10日発送

2018/01/02
 
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特集
2016年度大阪頸損連絡会・身体ケア学習会
頸損者が見落としやすい日常生活の注意点
~見えない負担の予防と対策/Part2~

2016年11月20日(日)於:旭区民センター 3階

 頸椎損傷者が見落としやすい日常生活の注意点ということでお話させて頂きます。宮嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
     
 私は現在四條畷学園大学で、理学療法士・作業療法士を育てる大学で教えています。元々は急性期、回復期、外来と、作業療法士として4年ほど日本の病院で勤務した後に、ベトナムという国でJICAの青年海外協力隊というボランティア活動で、作業療法士として3年ほど活動してきました。そこでは主に障害のある子どもたちを中心に診てきました。途上国ということもあり、作業療法士がいない、理学療法士はいるけれどもまだまだ数が少ない。ベトナムにいる子供たちは、脊髄損傷の方も病院で治療を最低限された後に病院に長く入院できません。また外来で来る事が難しいということがあります。脊髄損傷の方は家に帰っても、本人をはじめ家族、介助者も知識もないまま退院され、2次障害ですぐに亡くなってしまうというのが現状でした。凄く衝撃を受けたのですけど、そういった状況でした。日本に戻ってきてからは、訪問リハビリの方に関わってきまして、頸髄損傷の方も診てきましたが、今は大学の方で教えながら大学院にも通っています。今日は赤尾さんのお話の中で出てきた骨について中心にお話させて頂けたらと思っています。よろしくお願いします。

 頸髄を損傷した時に身体の状態を色々挙げてみると、運動麻痺や感覚障害、自律神経系障害や膀胱機能障害、直腸機能障害、そして性機能障害、心理面への影響、2次障害という症状があります。赤尾さんのタイトルが無痛という2次障害というものでした。痛みが無いということが2次障害に大きく影響しているということがよく分かるタイトルだったと思うのですけれども、皆さん一概に感覚っていうとどういう感覚が思い浮かぶでしょうか。大体、五感と言われるものは思い当りますか。五感っていうのは視覚それから聴覚、味覚、触覚ですね。それからもう1つ温度覚というのがあります。痛覚は痛みですね。火傷・低温火傷になる時は痛覚や温度覚が弱い場所、褥瘡は部分触覚、圧覚と言って圧を感じる感覚が弱い場所、もしくは感じられない場所にでてきます。
 他にも色々な感覚があって、体の動き例えば足が今どれぐらい曲がっているか、伸びているかを感じる感覚、これは骨や関節の動きを感じとる感覚ですが、ここも麻痺をすると感じにくく感じられなくなります。これを位置覚、運動覚と言って、それらを合わせて固有覚(こゆうかく)といいます。感覚といっても沢山あるのでその感覚を感じられない所ではなくて、今使える感覚であるところの視覚、聴覚このあたりを十分使いながら出来るだけこの2次障害を予防していくということが必要になってくるのではないかと感じています。

 2次障害には褥瘡、痛み、痙性、そして骨萎縮、拘縮、異所性骨化、外傷性脊椎空洞症、深部静脈血栓症、皮膚疾患などがあり、運動麻痺とか感覚障害よって身体が長期的にそういう状況にあるということで生じてくる障害で、この中の「骨の問題
 として定義されていた骨萎縮を中心にお話させて頂こうと思います。
 この2次障害、避けたいです。では避ける事が出来るのかということですね。2次障害には2つあって、1つは合併症、もう1つは併発症というものです。発生自体を予防ができると考えられているものと、予防は難しいというものがあって、合併症は予防できるものとされています。褥瘡、拘縮、疼痛、痛みですね。それからエコノミー症候群、つまり深部静脈血栓症が合併症の分類になります。もう1つは発生自体予防が難しいものが併発症で、ここに骨萎縮が含まれています。他に痙性とか痛みは起こってしまうものなのでなかなか予防するという事は難しいですよね。自律神経機能障害とか異所性骨化というものもこの中に分類されます。
 ただ予防は難しいですが何度も起きないようにする、出来るだけ起きないようにする、起きても最小限にとどめるというように、頻度・強度を調整できるということがいわれていますので、発生自体の予防は出来ないかもしれない、だけどできるだけそれを遅らせる、最小限にとどめる、ということを意識してもらえたらなというように思います。

 今回赤尾さんのケースの場合は、実際に頸髄損傷になられて何十年か経っているので、不動化という実際に動かせない、運動麻痺の状態が長い年数経っていることで、神経の支配がその麻痺域に関してはいかない、神経の支配がうまく働かないということがあります。
 そんな場合、麻痺域に関して骨自体は見えないのですが、栄養が非常に低い状態になっているんですね。栄養が低くてさらには、骨の中には血が通っているのですが、その血が血流不全の状態になっています。血流不全ですから、必要な物質を運ぶ事が難しくなり、代謝不全も起こってしまいます。栄養が少ない状態で血流不全、さらに代謝もうまくいってない状態がもう長年続いているのですね。すると骨自体の委縮、骨萎縮の状態になってきます。よく「骨粗しょう症とはどう違うの?」といわれますが、ほぼ同じ意味合いと考えて頂けたら良いです。骨の状態は同じです。ただ骨粗しょう症は一般的に加齢とともに出てくるのと、非常に女性に多く8割は女性です。閉経後にぐっと増えるというのが骨粗しょう症です。それと少し言い方を変えて骨萎縮と言われていますが、いわゆる骨粗しょう症の状態になってしまうということです。
 身体の麻痺域にある長管骨の病的骨折が、骨萎縮をベースにして起こるという事ですが、長管骨というのはいわゆる長い骨です。肩からひじにかけて、それからひじから手首にかけて長い骨が3本あります。足でいいますと大腿骨といいまして、赤尾さんが先ほどお話されていた骨も長管骨になります。膝から足首までも長い骨が2本あります。全部で長い骨が左右合せると12本ある訳ですね。この骨が最も骨折を起しやすいといわれています。さらには先ほどいった無痛という2次障害ですね、感覚が分からないということで悪化しやすく、放置しておくと進行するといった悪循環が生じてしまいます。
 骨折を一度するとそこが硬くなってしまい、拘縮するとまた骨折を起しやすくなるという悪循環になるので、まずは不動化という最初のステップを避けて、出来るだけ動かしておいた方が良いということが分かりますね。骨粗しょう症の状態になるということなので、骨にとって良い事はやはりやっておいた方が良いですし、予防のためには、気を付けなければいけない骨についてよく知っておくということ、そして、もし万が一避けられずに骨折となった場合には早めに対応すること、早めに対応できる準備をしておくこと、ということが大切だということが分かると思います。出来るだけ起きないようにまずは避ける、でも起きてしまった時の対応をすぐにする、という2本柱で考えてもらえたらいいと思います。
 万が一起きた時にどういう治療があるかという話が赤尾さんの方からありました。どれにしてもリスクがありますね。シーネ固定にしても手術にしても自然治癒にしても、出来ないとか難しいということがあります。それは他にも2次障害があるからですね。褥瘡もありますし、骨粗しょう症がベースになっていて固定が難しいこと、後はギブスで褥瘡になる、そして偽関節ということが起きてしまうことになりますので、まずは骨折しない対策を考えていく必要があります。
 頸髄損傷といっても完全損傷と不完全損傷と2つに分けられます。完全損傷と不全損傷では全く状況が違って、不全損傷でほとんど動かさなくても萎縮がほとんど見られないといわれています。しかし完全損傷の場合は骨吸収が急速に進行することあります。例えば立位訓練ができないと、骨自体に体重をかけるということがない状態がずっと続いているということから筋のポンプ作用がなくなり、受傷後3年間で一気に骨萎縮が進むということが分かっています。骨萎縮とは具体的には骨皮質という骨の皮質の部分の幅が減少するのですけども、なんと10年間で3分の1になってしまいます。ということで、3年間で24%、10年間で33%の委縮が進むといわれています。やはりここをできるだけ抑えたいと思うのですが、まだはっきりとこれが良いという情報がないというのが正直なところです。
 ただ研究はされていて、立位訓練や体を吊って歩く練習マシンのようなシステムを使うことで骨萎縮防止に有効じゃないかという調査が進んでいます。平成20年に行われた調査で人数は44名ではありますが調査をしています。全く立位訓練をしていない人に比べて、している人の方が明らかに骨の委縮の状況は少なかった。つまり立位訓練をしていることで骨の萎縮は防げたという結果が出ています。ただ訓練をどれだけすればいいのか、一体何回すれば効果があるのかというところまでは、まだ分かっていません。というのが以前の研究で言われていることです。
 私自身も頸髄損傷の方の立位訓練に関わったことがありますが、長い間立位を取っていなかった方が立位訓練をした時に、弱くなっていた毛細血管が立った時の血流に耐え切れなくて破れてしまい内出血を起こしてしまうという経験がありました。それだけ血管も見えないけれど弱くなっていて、おそらく骨に対する圧も久しぶりにかかり、それがとてもいい循環を起こしたのだと思います。やはり最初はそういった症状があったことから、骨も血管も体重をかけないことで弱ってしまうことを実感した例でした。

 骨粗しょう症は、骨自体の骨量というものが減少した状態をいいます。神経の麻痺や活動性が低下する事によって、循環する血流や代謝が悪くなり、栄養がいかない状態になり、決して強い力ではなく、弱い力でも骨折に至ることがあります。骨が委縮し骨自体がスカスカの状態だと本当に弱い力でも軽くポキッと折れてしまいます。なかなか骨が萎縮してしまった状態を改善するのは難しいですが、今からでも進行を遅らせることが出来ると思います。

骨の解剖(図1)

 先ほどいいました骨の絵ですけどもこの肩の所ですね、肩から腕にかけて長い骨が3本ありますよね。股関節から膝にかけて1本あって赤尾さんが今回折れたのは、大腿骨といわれる骨ですね。その下にまた長い骨が2本あるんです。長い骨がやっぱり折れやすいのが、どうしてかというと長い骨ほど影響受けやすいですね。ポキッと折れてしまうということなので気を付けないといけないですね。特に頸椎損傷の方で上肢をちょっと動くっていう方いらっしゃると思うんですけど、下肢ですね。下肢の骨折が聞いていくとすごく多いです。大腿骨だったり、足首あたりの長管骨を骨折している方が多いのかなというふうにお話を聞いていても思います。(図1)

骨の構造(図2)

 骨の構造になります。(図2)この骨の頭の部分には結構中に色んな繊維みたいなものが入っているのが分かると思います。この長い部分は間が髄腔といって、空洞になっているのでここで折れやすいです。空洞と空洞の間のちょうど周りの骨皮質といわれる、萎縮が進む所、骨量が減少するところというのはここになるのですが、この中には血管が通っていますが、麻痺域なのでこのあたりの血流が悪くなっていくと骨自体も栄養不足になり、髄腔のある部分が折れる危険性が高くなります。


 赤尾さんのCT写真ですけども、これは膝の関節の上の部分がスパッと、尖がっている部分があります。長い所の最後の部分が折れて潰れて、尖がっている部分ができていて、横から見るとスパッと真ん中が折れていて、片側はくしゅくしゅと潰れているのが分かると思うんですね。両側の骨自体がスパッと割れるのではなく潰れてしまうとなかなか、引っ付きにくい状態になります。さらには、ここに関節が出来てしまうという偽関節ですね。偽関節になるとどうなるか、痛みやしびれや悪い場合には出血を起こすと最悪の場合には切断という可能性もでてくると、ドクターから言われたということだったんですけども、そういう事になってしまいます。

 骨折は避けたいのですが実際は徐々に起こっていくもので、自覚症状がない、痛みも無ければ痺れる訳でもないので気づけないですね。そこで予防と早期発見、早期治療のために骨密度を一度測定されてはどうかと思います。
 色んな方法があります。今は簡単に尿や血液を採るだけで測定をすることが出来ます。お医者さんに骨密度測定をしたいけれども、どこでできるかということを尋ねたり、インターネットで調べられる方は調べて頂いて、一度測定を受けるという事もいいかなと思います。自分が今どれぐらいの状況にあるかって知っておくことも1つの方法です。骨密度は80~100%が正常ですけども、80%以上であれば一応骨密度の基準にはOKです。しかし70~80%になってくるとちょっと減少しています、注意してくださいという状況です。70%以下だと骨粗しょう症と診断されるレベルになりますので、皆さんも調べて自分はどれぐらいかということを知って頂くと良いと思います。
 骨粗しょう症は骨萎縮と違い、普通に年を取ると誰でも骨密度が低下していきます。頸髄損傷になり、さらに加齢が進んでいくことでダブルのリスクがでてきます。年は若くはなりませんから、皆さんにリスクはあるということになります。さらには50歳前後になると急激に骨密度が低下するといわれています。特に女性の方ですね。骨粗しょう症の8割は女性といわれています。頸髄損傷では男性の方が多いといわれていますが、男性の方でも加齢とともに骨粗しょう症になる可能性が非常に高いですね。骨萎縮、骨粗しょう症の状態がより進行するといえます。他にも遺伝的な要因というのも少なからずあるといわれていますが、栄養、食事ですね。それから生活習慣という所を変えることで骨粗しょう症を予防する、進行を遅らせるということが出来ますので、おいしいものを好きなだけ食べたいという気持ちももちろんわかりますがそれは特別な日にして、普段は規則正しくバランスのいい食事を心がけていく事が基本になると思います。

 骨折のリスクを評価する方法があって、これは頸髄損傷の方に限らない方法ですが、年齢、性別、体重と身長それから骨密度、他にも今まで骨折したことありますかとか、両親の骨折歴はどんな状況で起こったのか、それからタバコですね。実はタバコを吸う人に骨折のリスクは高いということがいわれています。それからステロイドを用いた薬を使っている方は骨折しやすい、リウマチを持っていらっしゃる方も骨折のリスクが高くなります。それから糖尿病、一型糖尿病、甲状腺機能亢進症というのはバセドウ病のことですけどもホルモンのバランスが崩れている状態、早期閉経など、こういったことがあったりすると骨折のリスクが高くなります。後は飲酒です。アルコールを良く飲まれる方、特に毎日コップ3杯以上、特に何の種類か書かれていてませんでしたがアルコールを毎日飲む、しかも3杯以上飲む方ですね、このタバコとかお酒とか実は骨折に影響します。

 先ほど言いましたけれども、食事と運動、立位訓練などの他に、骨粗しょう症の予防や治療目的として薬物療法があります。骨密度を測定して骨粗しょう症と分かった時に進行予防の為に出される薬の事です。ここに書いてあるようなお薬があるんです。

 <現在治療に使われる主な薬>
 ・活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤
 ・女性ホルモン製剤、カルシトニン(甲状腺ホルモン)
 ・ビスフォスファネート製剤 など

医師の処方が必要です

 こういった薬を飲むことで進行予防が出来るという事も分かっています。できれば薬は増やさないで食事や運動でまずは進行を遅らせることを第一にされると良いかなと思います。
 では具体的にどのように予防するのか。車椅子をこげる方、自分である程度動かせる方は自分で動かす努力を時々するのが良いですね。また動かすことが難しい方でも動かせる所、例えば首だとか肩だとかそういう所は出来るだけ動かすという事ですね。もし可能であれば家族やリハビリの先生や介助者の方に積極的に関節を動かしてもらう、やっぱり動かさないということが一番危険です。動かし方を誤るとそれも問題です。正しく動かしてもらえる場合には、関節を1日1回動く範囲で動かすという事が大事になります。
 後は入浴です。トイレの後に週2回ということをよく聞きますが、可能なら毎日入ることが理想かと思います。お風呂に入ることで血液の循環が良くなり、麻痺域に関してももちろん血流が良くなりますので、シャワー入浴だけでなくしっかり浴槽につかるという事も大事になってきます。
 それから寝ているよりは、座った方が良いですね。座る時間によって多少なりとも垂直方向、圧迫がかかります。足はなかなかかかりにくいですが、脊柱、背骨に関してはかかりますね。
 それから太陽の光は骨にとってとても大事です。つまり日光浴というか外に出るという事ですね、ずっと家にいると骨も弱ってきます。カーテンを開けてれば窓から多少、太陽の光があたりますが、外出が少なくなると骨も弱ってきますので、しっかり太陽の光を浴びるという意味でも外出をしましょうということですね。

< 休憩 >

 前半は骨萎縮、骨粗しょう症についての予防と対策の話をさせて頂きました。後半は骨折について話を進めたいと思います。これは全国の頸損連の全会員を対象に平成26年に実施された調査ですが、皆さんお答えなられたでしょうか。521名を対象におこない、質問をして224名から回答を得たアンケートです。これでは骨折の経験者がなんと20.5%だったという結果がでていました。つまり5人に1人は足を骨折した経験があったということが分かりました。その時の年齢が男性は39.6才、女性は41.8才ということで40才位ですね。障害の年数としては、平均が16年、男性16年、女性13年ということでした。
 ただ受傷して1年の方から受傷して51年という方まで含まれますので、平均としては16年ですけれども障害年数にかかわらず起きるということが分かります。5人に1人という数もびっくりなんですけれども、タバコを吸っている方で受傷時の年齢が20才前後、特に19才より前の方に、とても骨折の経験者が多かったということが分かったんですね。先ほど骨折の原因にもう1つ受傷年齢が若い人ほど骨折に至っている例が多いということが分かります。今の法律、健康増進法といいますけども、ここで骨粗しょう症の検診は40才以上の女性に限られています。ただし頸損の方の場合は平均年齢が40才以上では遅いです。一般的な骨粗しょう症対策とは別でやはり頸損の方の予防について検討が必要だと分かります。
 それから危険因子には19才以前での受傷があります。20才位までは骨量がどんどん増えていき、20才から一定になり年齢と共にまた下がっていくという経過をたどりますが、19才前はまだ発達途中で最大の所に至ってない、その状態で受傷されるので骨量が最大骨量に達していないんですね。例えばもともと持っている貯金が少ない状態なので、やはり若い時、特に19才前に受傷された方は注意が必要ということになってきます。又、若い人は年齢と共に、10年20年と障害年数と年齢が増えていきますので、そういった意味でも若い時に受傷された方は注意が必要になります。赤尾さんも40才を過ぎてと話されていたので、やはりこれ位が一番多い年齢なのかというふうに思います。
 次にねじれるという力に対して骨はとても弱いということです。では、ねじれる時とはどういう時に起きるかということをちょっと想像してください。特に移乗(トランスファー)の時はねじれますよね。そのねじれがある時に骨がもろいと折れてしまいます。骨粗しょう症の進行がその折れた時の症状のリスクをアップします。
 先ほど赤尾さんと話していて驚いたのですが、実は骨が折れた時の診察で過去に気づいていない骨折があったのではないかと先生からいわれたと聞きました。やはり痛みが分かりにくいということがあり、腫れる、赤くなっている、熱がある、熱があって熱い、また熱いという感覚に左右差があるとか、体温でも熱や微熱で体温が上がる場合、いつもより痙性が強いなという時には、骨折の可能性がありますのですぐに病院に行くことをお勧めします。同時にすぐ行ける病院をもっておくことも重要だと思います。
 「見る
 見て分かる事。それから音ですね、皆さん耳はしっかり聞こえるかと思いますのでパキとかバキとか、そんな音がした時はもしかしたら骨かもしれないということを想定して注意をして頂きたいですね。骨折しない予防ですけれども移乗(トランスファー)の時、移乗以外では着替えの時にズボンの着脱とか、入浴の時ですね。無理にというかかなり弱い力でも骨萎縮の状態が進んでいると折れます。ねじれもやっぱり圧がかり非常に怖いですので注意が必要になります。他にはフットプレートから足が落ちないようにする事もとても重要かと思います。介助者の方は介助の際に後方から胸を強く押すこともさけたほうがいいです。日々、目と耳をしっかり使って皮膚と骨の状態を自分でチェックする習慣。これはほんとに毎日きちっと朝晩してもいいですね。朝起きた時は朝起きた時もしくは寝る前に、必ず1日1回チェックをする、もう癖にしてもらう事が良いかと思います。

 万が一骨折起きた時ですね。動かさない、固定をする、熱がある場合は冷やしてもらった方がいいかもしれません。整形外科を受診して下さい。
治療ですけども長管骨折の場合は、本当であれば固定したいです。固定する事で骨がくっつくようにしていきたいのですが、その骨が弱い状態で骨がスカスカになっていてボルトの固定がもう出来ない状態になってしまうことがあります。この場合は手術が出来ないという可能性が高いですし、万が一それができたとしても、その後のギブス固定で結局褥そうなってしまった例も先ほどお話して頂いていましたので、非常にリスクが高いです。治療するとリスクが高い、しないと結局偽関節のリスクが高いということなので、やっぱり折れないのが1番です。大腿骨の顆上骨折ですね。膝からちゃんと曲がる状態であれば装具の療法ができます。しかし、膝が曲がるという事が出来ないと、手術して整復固定する事が望ましいといわれています。頸部の顆上の方ですけども、頸部っていうのは股関節の上の方ですね、ここの手術が保存療法になります。結局ADL(日常生活動作)に支障があるかないかという所でADLに特に支障が無ければ観察するということですね。特に日常生活によく使うことが多いのであれば、その影響を最小限に食い止めるという治療が行われます。

 どうして頸損者が骨折を見落としやすいのか理由を考えると、運動不足の状態が続いているから、活発に活動した疲れから、痛みに気づきにくいから、年は必ず皆さんとりますが老化から、それから足に対する意識が低くなりがちですね。2次障害に関する知識不足も挙げられると思います。環境が変化するということに対しての適応力不足ですね。新しい事すると別の問題が起きてしまうことを避けるために今のやり方に固執してしまう方が多く、今が安心・安全なやり方だと思っている事が、実はとても危ないやり方である、もしくは状況が変わってきて方法を変えた方が良い状態になっているかもしれないのですが、そこに気付かず、または適応できずに結局前からのやり方をずっと続けていることが、原因になっていることがあります。

 それから注意ですね、注意を自分でするのがいいのですけれど、なかなか24時間ずっと注意し続けるのは難しいので、意識を高く持つということが重要なのかなと思います。先ほどもいいましたが、方法を変えられないという事から骨折することもあります。それから体を動かすか動かさないかという所で悩んでいる方がいると思いますが、適切に動かない部分も動かしていくということが大事になってきます。復習になりますが、受傷後年数が経つと血行、栄養、代謝の不良が起きてきます。骨自身が栄養不良の状態なっていますので、関節が固くなったり骨が委縮して骨折しやすくなったりします。骨折はやっぱり先ほど何回かでてきますが足の方が多いです。
 骨折の治療で褥そうになってしまうという話を良く聞きます。お医者様が頸髄損傷の事を良く知っている方だと大丈夫ですけども、やっぱりあまり関わった事のないお医者さんもいるわけですね。整形外科のドクターであっても、褥そうが固定によっておこるというリスクをしっかり把握されていない方も中にはいらっしゃるので、自分自身でもしっかり管理して頂きたい、付ける場合にはそういう可能性があるっていうことを聞いたけれども、そのあたりはどうなのかということを質問してみる、言いにくいかもしれませんが先生と積極的に検討し合うといいますか、どういう方法が1番いいのか話し合うことが大切ですね。やはりその辺を大丈夫だろう、医者だから知っていると思っていると、あれっ、という事になってしまう事があります。自分でもしかしたらこのシーネすることで、褥そうになるのじゃないかなということを先生に自分から聞いていく、先を予測してそういうことが起きるんじゃないかということを知っている事をアピールして、先生にも理解してもらうことが必要になってきます。プレート固定が出来る状態の骨かどうかという事も普段からチェックしておく必要がありますので、治療が出来る状態にまずはしておくっていうのが理想ですよね。偽関節ということになりくっつかない場合には、介助方法もかなりまた気を使うということになりますし、偽関節から痛み・切断ということにならないように、やはり治療ができたら一番いいですし、また褥そうも防げるものなら防げるようにご自身でアクションを起こしていただくという事が大事になってくると思います。

 骨折からの拘縮、また更に骨折・・・のこのループを、なかなか断ち切れないということにならないようにしていく必要があります。移乗(トランスファー)する時にねじれの力が非常に危ないというふうに先ほどお伝えしましたけれども、もちろん転倒もしないよう注意が必要です。
 下肢の状態を皆さんはご存じでしょうか。ご自分が乗り移りされる時ですね。足ってどうなっているか見れる方は出来たら見た方がいいですね。介助者がいつもきまっていて、安心感がある場合は任せっきりになってしまっていることが多いというふうに聞きます。出来るだけ、やっぱり今、ちょっと足こういうふうにねじれているから気を付けて、ひっかかっているんじゃないかとか、共同作業ですからそのあたりを積極的に言えるように、意識をしておくって事が大事になります。力のない方がうまくテコを利用して、スッと乗り移りされている方もいれば、結構力技の介助者さんもいらっしゃいます。そういう時にクルっとまわすという介助の時に遠心力かかるんですね。その時にひっかかっているとかなりねじれのパワーがかかってしまうので注意がやはり必要になります。移動する時も同じで、赤尾さんの場合は、車イスを旋回しようとしたのですよね。電車の中で旋回しようとした、しかも今降りないといけないと焦っている状態。ここですね。狭い場所で方向転換で旋回する、気持ちが急いでいる、人が多くてっていうと余計焦りますよね。こういう時に、引っかかってねじれてって事が起きやすいのだなって私も話を聞いて感じました。ですので、皆さんも狭い場所で回る、方向変える時、特に電車降りる時など、気持ちが焦っている時や人ごみの場所移動する時に、特に気を付ける、下肢の状態に意識し注意を払うという事を生活場面でしていかれると良いかなというふうに感じます。

 介助の方法ですけども、1人よりは2人介助。2人介助よりはリフターということで、安全にひっかからないように移動が出来る、下肢を自分で確認できるという意味ではリフターを用いるという事も1つの選択肢だと思います。先ほども出てきました生活習慣の予防ですね。1つは薬ですけども、骨粗しょう症と診断されたら薬が出ますけども、薬に頼りすぎないのが1番です。できたら食べ物からとっていかれるのが良いと思います。

 骨を丈夫にする栄養素を紹介したいと思います。カルシウムは皆さんご存じだと思います。他にもビタミンD・Kがとても骨を丈夫にするといわれていますし、同時に摂ることで吸収率がアップします。タンパク質の肉や魚もしっかりとって下さい。バランスは大事です。あと日光浴ですね。日光に当たる事でビタミン生成されます。
 カルシウムは牛乳、小魚、干しエビ、小松菜、ちんげん菜、大豆、納豆など、ビタミンDは鮭、ウナギ、さんま、めかじき、いさき、カレイ、シイタケ、きくらげなど、ビタミンKは納豆、ほうれんそう、小松菜、ニラ、ブロッコリー、レタス、キャベツということですね。苦手な物は食べる必要ありませんが、自分はこれなら食べられるなという物を見つけて、積極的に食生活に取り入れて頂けたら良いと思います。

 次に運動ですね。体重をかける事が大事なのですが、運動量を単純に増やすだけでも随分効果はあります。一般的にはねウォーキングやジョギング、エアロビクスなどの有酸素運動ですが、頸の方の場合なかなか難しいので車イスの上でも出来る運動として背筋を伸ばすとか、足のストレッチを30秒出来たら40秒位、ゆっくり時間かけてするのが理想です。動く範囲は全範囲1日1回動かすことで拘縮の予防にもなり、骨密度低下させないためにやはり運動は大切ですね。立位もなかなか現実的ではないかもわかりませんが、可能であればそういったことも検討されると良いかと思います。

 骨折のリスクの評価法にありましたが、1つ目、19才以前に受傷している方、年をとってきている方など年齢についてと、喫煙をする方やお酒を飲む方、骨折歴のある方はリスクが高いです。2つ目は食生活、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKでしたね。それから運動、ストレッチだけでも大丈夫です。3つ目が普段の車イスに座っている姿勢を定期的に見直す、鏡や携帯電話で写真を撮って見るのも良いですね。
 入浴の時に浴槽につかる、介助方法の見直し、介助人数や福祉用具導入を検討する。
 福祉用具は、抵抗がある方も多いですので使いたくない、絶対いやだって方も多いのは私も重々感じているのですが、安全に行う事が大前提になります。スピードは遅いですけれども安全、介助者にとっても本人にとっても安全なやり方になりますね。それからリハビリを退院後全く受けていない方が結構多いです。以前より訪問リハビリを受けやすくなっていると思います。継続的かつ定期的に体を見る人がいるのは強い味方になると思います。
 自分の体を見ている人がいれば、あれここどうしたのとか、腫れてるよとか、気づいてもらえます。骨の状態はなかなか見えないですが、これはすぐに病院行くべきかどうか医療職としての判断も信頼がおけるものだと思いますので、医療関係者とお友達でもいいですね、つながっておくというのがとっても大事です。
 それから健康診断に行くこと、泌尿器科や歯科に掛かっている人は多いですけれど、なかなか健康診断に行っている方は少なく、ここ10年20年は行ってないって方の何人かに聞くとやはり何か起きます。起きてからでは遅いです。早く気づくために定期的なチェックを、チェックしていても見逃されることがあったりしますけども、出来るだけ行くようにするというのがいいかと思います。
 それから相談者ですね。この頸損連の中での方、お知り合いの方、障害年数の長い方いらっしゃったら、とても相談になりやすいと思います。1人ずつ状況は違いますけども、ここの病院よかったよ、自分はこんなの使ってるけど良いよとか、そういうグッズとか非常に良くご存じの方もいらっしゃいますし。相談できる方をもっておくのは、とてもやっぱ大事ですね。なので、この連絡会に来て頂いて情報交換をお互いするっていう、こういう勉強会に参加し、そういったネットワークが本当に大事だなというふうに私も感じています。私自身頚損連に初めて顔を出させて頂いたのは14年位前になるのですけれども、皆さん継続してずっと活動されてる方もいらっしゃって、いつもここに来るとホッとする場所です。後は定期的に情報誌なんかもあります。インターネットからも脊髄損傷の合併症についてなんかも、すぐ簡単に新しい情報が入るようになっていますので、こういったものを利用して情報を入れておかれると良いかなと思います。頑張りすぎないという事ですね。適度に頑張って休むという習慣もとても大事だなというふうに思います。

まとめ:日常生活の注意点

・日々の積み重ね
・予防と対策を含め、日頃から自分の身体への意識を高く持つ
・異変に少しでも早く気付く
・身体のサインを見逃さない(凝り→しびれ、痛み→無感覚、腫れ・熱)
・自分の身体の声を聞く
・身体と向き合う時間をつくる
・身体をよく観察する習慣を持つ
・疾患・障害・二次障害に対する知識を備えておく
 (変形性関節症、頚椎症、拘縮・変形、肥満など生活習慣病)
    ・・・頚髄損傷者に限らず誰でもできること、すべきこと!!

※「頚」はスライドのまま掲載しました。

 これは最後のスライドになりますが、こちらは頸損の方に限らず誰でも同じ様に出来る事で、した方が良い事をちょっと挙げさせて頂きました。
 日々の積み重ね、継続って凄く大事だなというふうに思います。予防それから対策を色々とお話させて頂きましたけれども、日ごろから自分の体に対して意識を持っておくっていう事、自分の体をみつめる時間を持つって本当に大事ですね。忙しく日々のやるべきことに追われて、なかなか時間を持てないというのが一般的だと思うんです。出来るだけ自分の体と向き合う時間持って早く気付く、早く異変に気付くサインを見逃さない、凝りや痛みとか腫れや熱ですね。やっぱり体のサインですね、体がSOSを出している時に気付いてあげるっていうか、気付いたら無視してしまわずにちゃんと声を聞いてください。後は観察するって事です。目をしっかり使って観察してください、観察してもらうでもいいかもしれません。習慣的に定期的に医療者の人に観察してもらう機会を持つとか、家族でもいいと思います。それから疾患、障害、2次障害こういった所に、知識を備えておくというのは大事ですね。生活習慣病は誰にでも危険はありますけれども、普段の習慣で予防することは出来ますので、生活習慣も見直します。こういったものは頸髄損傷者に限らず誰でも出来ることすべきこと、やっぱり最終的には日常生活の注意点になるのかなというふうに思いますので、今日はこれを紹介させて頂きました。

 最後に先ほど出てきた寿命の話を少しさせて頂きたいと思います。
 日本人の寿命というのは世界でもトップです。女性も男性もかなり高くなっていますね。もう女性だと85.6才ですね。男性は80才に乗ったと聞いていますけども、頸損の方はどうなんだろうということを研究されている方がいらっしゃいました。1983年で大分昔ですけど。今2016年なので35,6年前ですね。その調査で、アメリカですが20才で受傷された方、大体30年といわれていたのですね、50才位ですよね。30才で受傷された方は23年と結果が出ていて53才ですよね。40才って方は15年といわれ、ということは55才です。50才の方は8年といわれていて58才です。それぐらい50代で亡くなる方が、普通だったんですね。1980年代っていうのはやっぱり50才~59才の平均寿命になっていたという事なのです。
 日本はどうかといいますと、同じく1982年に研究されていて、20才前半の方ですと15年生きる、つまり35歳ですね。非常に若い35才まで。30代前半は13年位で43才ですよね。40代前半は11年で51才。50代前半が8年位で58才。20才前半の方は35才位までしか平均で生きられなかったんですね。それぐらい短かったんですね。
 それが、現在はおそらく非常に伸びていると思われます。2003年の調査では、大体ですがC5~C8の頸損の方ですね。30才以上の場合27年といわれています。だから57才位ですね。35~45才の方では13年位、つまり48~58才位ですね。というふうに2003年時点ではいわれています。
 伸びてはいますけど、多分今もっと伸びていると思います。なので今までは、この骨萎縮っていうのは、はっきりいってそこまで長生きしない、できなかったから出てこない症状だったわけなんですけど、今とても長く生きられるようになっていて、頸損の方も同じように長く生きられるようになっていて、だからこそ注目され始めたと思われます。
 長く生きられるというのはとても良い事ですが、健康でやっぱり長く生きたいと思いますので、頸損の方でも健康で長く生きるための日々の注意を忘れずに、どこかに貼っておいて時々見直して忘れたころに見直すようにしておかれるといいかなというふうに思います。今日はちょっと長い時間になりましたが私の話は以上になります。
 ご清聴ありがとうございました。

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