ブレス・トゥ・ヴォイス 連載 第25回 頸損だより2017冬(No.144) 2017年12月17日発送
ブレス・トゥ・ヴォイス -Breath to Voice-
- 「息」から「声」へ - 連載 第25回
●頸損連絡会の人工呼吸器を使用するメンバー有志で、共通する課題や呼吸器当事者に有効な情報を自分たちで共有していこうと、情報交換&交流会を2009年から始め、これまで定期的に集まって近況報告や意見交換など行ってきました。今回、大阪府立急性期医療センターにおいて、「被災した頸髄損傷者への支援について」というテーマで、医師や当事者、医療関係者が大勢集まり、災害時についての講演を行いました。その後に、入院患者さんと共に私達、頸損メンバーがピアサポートの会として、歓談の様子を報告したいと思います。
「災害リハビリテーション支援研修会に参加して
兵庫頸髄損傷者連絡会 米田 進一
去る9月30日に大阪府立急性期医療センター内において、災害リハビリテーション支援研修会の名目で、医師や当事者、その他医療関係者が、災害時に置ける様々な活動や被災した所での救急医療の報告をされました。
まず、主催者の医師である冨岡氏より「みんなで考えよう!災害時の頚髄損傷者のサポート」について話が始まりました。冨岡氏はDMAT(災害派遣医療チーム)という組織の中で、様々な場所で起こった災害で被災した方を助けられている方です。その後に、救急診療科の藤見氏による最新の災害医療体制という内容の講演をされました。この方は被災地から広域に向け(同県から他県へ)、病院を紹介する医師です。それから、土岐医師から頸損特有の身体症状や人工呼吸器使用者の生活実態について紹介しながら、主に呼吸器使用者の日常生活や排痰の方法などを説明されました。最後に、2社の呼吸器メーカーから取り扱いをされている製品の紹介があり、どちらもコンパクトで普及しているそうです。
私が使用している呼吸器もバッテリーの持続時間は異なりますが、Medtronic社PB560という呼吸器はズバ抜けてバッテリーの持続時間が長く、内蔵バッテリーが11時間、外部バッテリーが2本(1本あたり9時間)レンタル出来るそうです。おまけに緊急用としてもう1台の呼吸器のレンタルが可能という事で、長時間の外出や災害時での場合、持続時間の長い機種の方が使用する私達にとっては安心出来ると感じました。私個人が感じたことですが、頸損者であり尚かつ人工呼吸器を使用する1人としては、いつ災害が起こっても避難できる状態では無いため、停電により電動ベッドやリフターを利用している方や、一人暮らしをされている頸損者にとっては避難できない状況にあることも懸念されるのは避けられないと思います。高層階などに住まれている方はエレベーターが止まると避難できません。火災もおきる事もあります。水害も同じく予知していかなければなりません。
常日頃から災害時に対応できる訓練はしておく必要があるのではないでしょうか?生きていくための一部として私達は当たり前に生活するのではなく、緊張感を持って取り組むべき課題でもあることは間違いありません。災害の研修会を通じて様々な問題点を考える良い1日となりました。
この後、病棟に移動し入院患者さんと頸損連絡会の数名が一緒に集まり、『ピアサポートの会』と題し、頸損連絡会の活動内容を大阪支部の島本さんから説明して頂き、その後、私からは頸損者の生活について講演させて頂きました。
部屋には土岐先生をはじめ、とても多くの患者さんやご家族さん、病院スタッフで入りきれない程の方が集まって頂き、私もそれに応えるのに凄く緊張しました。皆さんもご経験があると思われますが、入院していた当初は、絶望感や不安、在宅での生活をイメージする事すら出来なかったと思います。私達が経験したことを入院患者さんに少しでも不安解消になればと思い、今回の会に参加出来たことを嬉しく思います。私達が入院していた当初はこういったカウンセリングをされた事があまりなかったのではないでしょうか?受傷間もない患者さんには、上手く伝わったかは分かりませんが、私も頸損の第一人者として、これからもセルフヘルプ活動を自主的に続けていきたいと思います。