関西の新しい鉄道Ⅱ 頸損だより2010秋(No.115) 2010年9月19日発送

 
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頸損だより2010秋(No.115) 2010年9月19日発送

関西の新しい鉄道Ⅱ

坂上正司

関西ではここ数年の間、鉄道の延伸線や新支線の開通が相次いでいます。昨年の阪神なんば線と京阪中之島線に続いてJRおおさか東線を紹介します。前回に引き続き、利用者の視点に立つようになってきているところとそうでないところを、設備面で紹介したいと思います。

JRおおさか東線
http://www.osr.co.jp/
「JRおおさか東線」(右図)は、城東貨物線を改良し大阪府大阪市淀川区のJR新大阪駅から八尾市のJR久宝寺駅の間を繋ぐ新支線です。このうち南側の放出駅から久宝寺駅までが2008年3月15日に部分開業しました。2009年1月末には新大阪駅から計画中の北梅田駅(仮称)まで直通する計画が報道されていますが、全線の開通は当初予定されていた2011年から2018年へ大きくずれ込む見込みです。今回は開通済の南区間沿線を散策してきました。

放出駅(はなてん) まずは我が家の最寄り駅であるJR福知山線(宝塚線)中山寺駅から東西線快速木津行きにのって40分弱で片町線(学研都市線)放出(はなてん)駅に到着。放出駅は地上ホーム・橋上改札の二面四線式で、片町線木津方面とおおさか東線久宝寺方面、片町線京橋方面とおおさか東線放出方面は同じホームで乗り換えられます。木津方面ホームはカーブしていることもあり段差が大きく、注意が必要です。各ホーム中央付近(久宝寺方面3の3、尼崎方面4の1)に11人乗り貫通式エレベータが一基ずつ設置されています。改札は橋上で、改札外は南北に自由通路になっています。南北の出入口にはそれぞれ15人乗り貫通式エレベータが1基ずつ設置されていますが、大きいエレベータが設置されている理由が、自転車利用のためであるらしいことには閉口しました。
南口を出て東へ向かい放出南商店街から平行して流れる水路沿いにでると、最近設置されたらしい遊歩道が水路上に整備(左写真)されていて、次の高井田中央駅方面へ導いてくれます。

高井田中央駅 (たかいだちゅうおう)駅は高架ホーム・地上改札で、島式のホーム中央付近(久宝寺方面4の1、放出方面3の4)に11人乗り貫通式エレベータが一基設置されています。おおさか東線の新駅には駅毎の色があり、ホームの構造がほぼ同じこれらの駅の眺めを区別するための目印となっている。ちなみにこの駅の色は赤で、ホームの庇の梁やエレベータの扉などが統一されています。地上改札は中央大通北側にあり、駅前広場を挟んだ東隣の丸福高井田ビル(右写真)のエレベータ(③番7:00~24:00)で地下二階へ下りると、地下鉄中央線高井田駅改札にたどり着きます。この駅のホームにはエレベータがあります。但し、丸福高井田ビルの玄関付近にもエレベータ内にも地下鉄駅につながっているという表示がないので気をつけてください。特にエレベータの表示からは故意に消した痕がありました。ここから次のJR河内永和駅まで電車で移動しました。

JR河内永和駅(じぇいあーるかわちえいわ)駅は高架ホーム・地上改札で、島式のホーム中央付近(久3の3、放4の2)に11人乗り貫通式エレベータが一基設置されています。駅の色は紫。地上改札は東向き、駅前広場を挟んで近鉄奈良線河内永和駅地上入口(右写真)から11人乗りエレベータで改札にたどり着きます。この駅のホームにはエレベータがあります。
私は花園ラグビー場へ行くときにこの駅で乗り換えます。さて、ここからはおおさか東線を左に見ながら俊徳道駅へ徒歩で移動しました。

JR俊徳道駅(じぇいあーるしゅんとくみち)駅は高架ホーム・地上改札で、島式のホーム中央付近(久3の3、放4の2)に11人乗り貫通式エレベータ(右写真の左)が一基設置されています。駅の色は黄緑。地上改札は東西自由通路に面していて南向きで、西に向かうとすぐに近鉄大阪線俊徳道駅改札にたどり着きます。この駅のホームにはエレベータがあります。近鉄高架下にスーパーなどがあり賑やかな感じです。
再び電車で移動。次のJR長瀬駅は飛ばして新加美駅まで。

JR長瀬駅(じぇいあーるながせ)駅は高架ホーム・地上改札で、島式のホーム中央付近に11人乗り貫通式エレベータが一基設置されています。駅の色は橙(だいだい)。ちなみに近鉄大阪線長瀬駅は東へ概ね700メートル、地下鉄千日前線北巽駅は西へ概ね1600メートル離れています。

新加美駅(しんかみ)駅は高架ホーム・地上改札で、相対式ホームのそれぞれ放出側(久5の4、放2の1)に11人乗り直角貫通式エレベータが一基ずつ設置されています。この駅は久宝寺駅に向かって左へカーブしています。ホームの位置によっては段差や隙間がやや大きなところもありますので、気をつけましょう。駅の色は黄。地上改札は西向きで、南西に向かうとすぐに関西線(大和路線)加美駅にたどり着きますが、この駅は階段しかない橋上改札駅です。新加美駅周辺はスーパーなどがあり賑やかな感じです。

さて、次の終点久宝寺駅まで線路沿いに移動するだけでは面白くないので、少しルートを北に変えて久宝寺緑地に行くことにしました。まずは駅前のコンビニで昼食を調達して、新加美駅を後に北へ向かうと、駅前のメインストリートなのだろうか、いろいろなお店が続きます。100円の焼きそばとキャベツ焼きの文字にはそそられるものがありました。進路を東に変えると旧村落を思わせる入母屋造りの家と畑とマンションが混在する地域へと続き、そこを過ぎるといよいよ久宝寺緑地です。
久宝寺緑地は八尾市の北西に位置していて、一部東大阪市と大阪市平野区にも属しているようです。緑地の出入口は、国土交通省ご推奨のバリカー(左写真)が設置されていましたが、自転車利用者は自転車を持ち上げて通っているので、車いす利用者だけの障壁に成り下がっていました。西北のゲートから入り、木陰のベンチもたくさんあり、そこで昼食を済まして、公園内を散策しました。ランニングコース、親水公園、シャクナゲ園、野球場、テニスコート、サッカー・ラグビー球技場などが整備されていて、思っているより大きな規模でした。緑地の北東から南西に向かって高架で横切っている近畿自動車道をくぐり、南西のゲートを出て10分弱で久宝寺駅に着きます。

久宝寺駅(きゅうほうじ)駅は地上ホーム・自由通路と橋上改札で、二面四線式のホームの1番はおおさか東線・関西線(奈良方面)、2番は関西線(奈良方面)、3番はおおさか東線(放出方面)・関西線(天王寺方面)、4番は関西線(天王寺方面)です。ホーム中央付近に11人乗り普通エレベータが一基ずつ設置されています。地上から南北自由通路へはそれぞれ11人乗り貫通式エレベータが一基ずつ設置されています。近鉄大阪線にもよく似た名前の久宝寺口駅がありますが、大凡2キロ離れているので注意してください。

おおさか東線は、エレベータの位置をできるだけ揃える、駅毎に色を変えるなど工夫の後も見られましたが、列車との段差解消やホーム柵の設置はされておらず、またエレベータは拡幅扉やより大きなサイズのものを試みることもなく、未来を想定した仕掛けがなかったことは残念です。新大阪まで延伸したときにはより間然されていることを期待します。

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