第2回災害リハビリテーション支援研修会 第3部:大規模災害時のシュミレーションをしてみよう 頸損だより20

2022/06/18
 
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頸損だより2019夏号(No.150) 2019年6月13日発送

第2回災害リハビリテーション支援研修会
第3部:大規模災害時のシュミレーションをしてみよう

PDF 第3部:大規模災害時のシュミレーションをしてみよう

◆司会 大阪医科大学救急医学教室准教授 富岡 正雄

 参加者(頸損連・スタッフ)が意見を出し合い、事前アンケートも取り入れながらKJ法でワークショップを実施。※(KJ法→http://www.ritsumei.ac.jp/~yamai/kj.htm)

 ワークショップでは、大阪北部地震や台風21号を経験した時に感じた困りごと、災害に遭遇した時に必要に感じていることなどを、個々にカード1枚に1項目を書き出し、同じ内容の項目をグループ化して参加者で課題を見つけあった。
 困りごととしてグループ①は、停電になった時の課題が多くあった。呼吸器を使用している人にとってはバッテリーの充電の方法や充電させてもらえる場所があるのか、たん吸引器やネブライザーが使えない。季節によっては冷暖房ができないと体温調整ができなくなって体調を崩す。電動のベッドが動かなくなると使えない、手動の装置がついているのかわからない。電動車イスの充電や玄関の段差解消機が使えない。
 グループ②として避難先での困りごとがあり、避難所(小学校の体育館や教室など)で過ごせるか自信がない。空調が無いと過ごせない。床に寝ると褥瘡になるのでベッドを持ち込めるのか。そもそも避難所まで行けるのか、道路事情や距離の問題。福祉避難所へ行きたいが何処にあるのか知らない。その他避難に関連して、自宅避難の時に食料はもらえるのか。ヘルパーは来てくれるのか。福祉機器で役に立つものはどのようなものがあるのか。通信方法として電話やライン、SNSは使えるのか。などの項目が挙げられた。
 グループ③としては誰に助けてもらうのかについて、家族、訪問看護師、ヘルパー、事業所、頸損連、行政、警察、隣近所の人、医師、救助隊、消防、親戚などが挙げられた。ここでは何時助けてもらうのか。どのような内容について助けて欲しいのか。が具体的にイメージできないために、キーワードが多くだされた。

参加者のコメント

A:台風21号の時に停電して、ベッド上で座位だったので手動で寝かせてもらおうと思ったが、手動のハンドル装置がついていなくて(オプションのようだった)大変だった。この経験から避難訓練など屋外の訓練は考えていたが、室内での避難訓練も頭で考えるだけでなく実際にやってみることも重要だと感じた。

B:普段の生活の中で取り入れているといえば、蓄電池を普段利用するようにしている。リフターもコンセント式ではなく充電式を使っていてベッドと車イスの移乗をしています。その他としてはバルコニーに家庭用のソーラーパネルを置いて蓄電して携帯の充電などに活用している。マンションの13階に住んでいるのでEVは止まって逃げることはできないが室内での移動は可能なようにと考えている。

C:災害時の自助:共助:公助が7:2:1と言われています。それは阪神淡路大震災の地震発生時に瓦礫の中から人々を救った割合が、7:2:1だったので災害発生時はそのような対応になるかと思いますが、運よく生き残って3日1週間となっても自助と共助で続けなさい。となってくると備えることが難しくなりそうで、1週間分の食料の確保についても、水だけで3L/日だと、ペットボトル20本以上を常に誰でもが準備しておく場所を確保できるのかなと感じます。避難所に行けなくて自宅で避難していても、避難所の食料がもらえるのか、もしかすると避難所優先で自宅避難の人は自助でということなのかなぁ。特に呼吸器を使っている人たちは停電になると充電ができなくなってしまう。そんな時に災害拠点病院の電気が復旧していたら、呼吸器のバッテリーだけでも充電できるよ。「ここへ来て下さい。充電できますマップ」のようなものを全国的にあれば少し安心かな、対策を考えられるのではと思いますが、これは自助、共助ではできないので公助としてお願いできればと思います。


事前アンケート

■避難所へ行けるのか?(道路、交通機関、他)
■福祉避難所は何処に?(近隣に有る・無い、そもそも高齢者施設に入れるのか、介助ができるのか、他)
■避難所が利用出来ない時の自宅避難する時(全壊しなかった時)
■電気、ガス、水道がなくて2週間生き抜く課題(食べ物、飲み物の配給が自宅まで届くのか、他)
■水害のハザードマップでチェック、自宅は水没しない?(HPチェック)
■自助と協助として考えておくべきこととは?(自助・共助では出来ない事、他)
■処方されている常備薬の不足や医療用具等の不備(衛生面や褥瘡予防対策)

回答アンケート 頸損者14名(内呼吸器使用者3名)

● 吹田市在住、YKさん(C-1・24時間呼吸器使用者)(手動リクライニング)
 特に重要度が高いと痛感したのが電源の確保でしょうか。とりあえずは内蔵4時間、外部バッテリーで32時間は、人工呼吸器が動きます。これまでの各種災害時のケースでは長くても1日程度で復旧するだろうとの見込みで、停電になっても現状の装備でしのげると考えていましたが、今年はその想定が甘かったと思わされる事例が散見され、災害の規模もさることながらタイプも多様でした。一体どこまでを想定すれば良いのやら。今のところはとりあえず住居は無事で、停電、ガス停止、断水で電気の復旧が3日程度を想定して見直しをしているところです。
 ガスは、カセットコンロとボンベで、断水はペットボトル2ダース缶詰とレトルトなどの非常食、それと冷蔵庫の残りも2、3日はいけるかと。あとは、やはり電気の問題ですね。携帯端末用の照明、ソーラー充電機能付き大容量バッテリーを一つ購入しました。人工呼吸器についてはバッテリーを追加しても良いけど普段使うものでもないし、経年劣化もあるから狭い部屋に置いておくとヘルパーさんに嫌がられるし。発電機も考えましたが思いのほか燃料がいるようでガソリンなどの可燃物を置いておくのも好ましくないし。マンションの自治体に、災害時の装備ということで1台発電機を購入してくれるようにお願いはしています。いろいろ考えていたのですが北海道地震では発電所が被災してブラックアウトが起き管区全体が停電した際に自動車のシガーライターから給電する事例が結構あったようなので家でもそれに倣おうかと思います。
 マンションの2階なので、家の下まで車を移動してきて延長ケーブルで電気を引っ張ってきます。30メートルの工事用リールコードと変換器を使えばいけそうです。どのくらいの時間使えるのか、近いうちに一度試してみる予定です。これがうまくいくのでしたらマンションの駐車場は90台分ありますので片っ端から頭を下げてお願いして使わしてもらうということもできるのではと期待しています。
 医者からは最悪、電源が喪失した場合は救急車を呼んで病院に飛び込めと言われていますが、非常時には救急車が来てくれるのか。受け入れ先があるのかどうか。考えれば考えるほどキリがないですね。
 災害時の対応についていろいろと考えているのですが、避難となるとどうもイメージがわきません。とりあえずは自動体位交換機能付エアーマットがあれば寝床は確保できると思うのですが電源が確保できているか?人手が確保できているか?空調は?と考えれば考えるほどにどこまで想定すればよいのか、わからなくなってきます。
 自宅から退去せざるを得ない場合は病院へと考えていますが、それが叶わないのであれば自宅から最寄の避難先となると、学校の体育館となりますが、自宅から避難しなければならないようなケースであれば当然、他の人も避難してくるでしょうし、呼吸器や吸引器を引っ提げて避難所に行くのはあまりにも肩身が狭く、考えづらい。
 真夜中にアラームが鳴ったり、痰の吸引をするなんてことを考えると背筋が寒くなります。どこかの空き地で、テントでも張る他ないのではないでしょうか。長期化したら薬はどうするか?呼吸器の加湿器の蒸留精製水などの消耗品はどうするか?健常者でも辛い状況下での対応となると果たしてそれは現実的な話なのかと思ってしまう。
 何よりもこのような問題について相談できる公的な窓口が見当たらないことが一番の問題なのではと思ってしまいます。

● 明石市在住、YSさん(C-1・24時間呼吸器使用者)(電動ティルトリクラ・チンコン・自走)
 私達、呼吸器使用者にとって一番優先すべき物は、電源の確保でしょう。実際に私も呼吸器を今年の6月から2台持ちにしましたが、内蔵バッテリーが30分、外部バッテリーが1個に付き9時間半で合計約30時間しか持ちません。電動車いすにコンセントを付けたので、そこからも充電が出来るようにしていますが、部屋から7M程離れた玄関先に電動車いすを置いているため、家族が部屋まで押して貰うか、延長コード約2Mの物しかないので、いざという時には大変かと思います。自家用車にはシガーライターで充電できるようにしていますが、発電機は購入していません。自宅の近所に消防本部がありますが、いざという時に優先で救急車や発電機を廻してくれるという保証はありません。実際に避難場所に行くにも、近くの小学校まで、徒歩で約10分~15分程掛かりますので、車いす移乗しても20分以上は掛かる計算になります。
 非常食も常に常備しているわけではなく、現状はレトルト食品かインスタントな物でしかありません。水も一日分ほどしか常備していませんし、非常に危険な状態と言えると思います。シミュレーションをして置かなければ行けないことが多く、命を守る為に家族と話し合いを進めて行く予定です。
 ただ避難できる態勢がいざという時に絶対できるとは言えません。
①誰もが災害対策できる環境ではないと思う(独居の人は介助者がいなければ何も出来ない)
②介助者も人なので体調不良などで必ず来てくれるという保証はない
③車いすが壊れたら移動すらできない
④各関係者(家族、介助者、医療関係者、地域住民など)はどう対応してくれるのか意見を伺うのはどうか?
⑤自宅にいる方が安心(避難所の居住制限や呼吸器の音を気にする)
両親も70代になり、体力面の低下もあり、避難できるかは正直難しいとも意見が出ました。
呼吸器使用者ならではの電源確保が出来ない時はアンビューバッグを交代しながら揉むとか?
車のシガーライターで充電して対応する。簡易ベッドで対応(毛布やクッションなどを使用)
小銭10円玉を用意(公衆電話用)

● 貝塚市在住、KYさん(C-4・呼吸器不要)(電動ティルトリクライニング・自走)
 元々災害に備えて備蓄品など置いてあったが!実際に使えるものか確認していなかった。台風後足りないものなど買い足した。
 防災計画を各団体で話し合った。避難経路、避難場所の確認。停電時の対策、医療機器や薬など多めに蓄えるため主治医に話してだしてもらった。
 普段地域や自治会などとも繋がりを持つため話し合いなどをした。自立生活独居なので災害した際事業者とも話して想いをはなした。

● 西宮市在住、OYさん(C-6・呼吸器不要)(簡易電動車いす・自走)
 大阪北部地震発生の3日前に、兵庫県三木市防災センターで震度6の体験をしました。さすがに、車いす利用者の研修者は来られないとあって(ボランティア連絡協議会の研修旅行)で、私以外は全員健常者。車いすを慮って震度7は控えられたようです。その体験3日後の本番! まだベッドで臥床中でしたけど驚きましたね。
 水害発生の可能性は我が家は少ないように考えられるかと。標高がやや高いこともありますのでいざという時、息子が居れば2階へおんぶして非難させてくれるかと。
避難所と指定された学校があるにはあるのですが、かなり急な坂道ですので車じゃないと…。そこに避難するつもりは全くなく、ひょっとすれば、10分以内の近場に築後3年余りの高齢者施設が、そこへ避難させられる?私の場合に限り、自宅が全壊しなければ自宅非難になるかと。夫ともそう話しています。
 飲料水や食料の備蓄、生活用水備蓄なども大切ですよね。息子は2リットルペットボトル数10本に水を雨の当らない敷地内通路に並べ置いてます。今後も延々と蓄えることでしょう。

● 東大阪市在住、IYさん(C-5・呼吸器不要)(電動ティルトリクライニング・自走)
 第1次避難所、第2次避難所は自宅周辺にあるので、移動手段は手動車いすか電動車いすになる。第3次避難所は自宅から少し遠いので、移動手段は電動車いすになるのか福祉タクシーが必要になるが、大規模災害発生時は福祉タクシーの手配は難しいと思う。
 第1次避難所は近隣にある小中学校の教室や体育館、第2次避難所は市民プラザが近隣に有る。第1次避難所の小中学校の教室は階段など段差があるので避難できない。体育館に関しては入り口までスロープがあるか確認が必要。第2次避難所の市民プラザでは1階に避難できないので、停電の際EVが作動しない場合避難不可。
※1日目から避難所で生活するのであれば、膀胱瘻をしているのでベッドや段ボール製簡易ベッドがあれば、周りの被災者にベッドに移乗の手助けはしていただけるかもしれませんが、その他の介助は家族等になり、何日間避難所生活送るかによって医療行為も必要になるので、一般の避難生活はおくれない。
1.電気、ガス、水道が供給有りの場合:生活に支障はないが、食べ物、飲み物が調達できるのかが問題。また訪問看護が来られない場合は、家族が排便処理。
2.電気、水道が供給有りの場合:1と同じ課題有。
3.ガス、水道が供給有りの場合:※季節にもよるが冬の場合は避難所へ。エアマットは使用不可なので臀部にロホクッションなどをひく(頸損だより2009冬号記事参照)ベットから車いす移乗時昇降リフトが使用不可なので、2人介助必要(共助)あるいは床走行リフトを福祉用具店から借りなければならないが可能なのか?2と同じ課題有。
4.水道が供給有りの場合:基本避難所へ(究極の場合)3と同じ課題有。
5.電気、ガス、水道が供給なしの場合:避難所へ ※避難する際、玄関は43センチ段差があり段差昇降機を設置しており、停電や故障などで出入り出来ない時の為に長さ240センチのスロープを予備で購入している。
※食べ物、飲み物の配給は避難所だけで、自宅には届かない(東大阪市HP)
 自助では解決できない課題:膀胱瘻を造設しているので避難期間にカテーテル交換が必要な場合や週2回排便の必要があるので、避難所が近隣にある高齢者施設や病院に受け入れして、医療従事者に医療的な事をしていただきたい。避難所で電動車いすなど電気が必要な方がいる場合はその避難所に小型発電機などを設置してほしい。福祉避難所(災害時において、高齢者や障がい者など、一般の避難所生活において特別な配慮を必要とする方々を対象に開設される避難所)がないので、開設してほしい。
自宅避難の場合、自助を優先に考えますが家族等が高齢の場合は共助が必要になる、ただし皆が被災者である事を考えると当事者(自分)にとってリズム通りの生活を送る為に安易に助けを求められない。避難所の場合、多くの被災者がいているので必要最低限の助けは受け入れていただけるかもしれないが、医療的なケアが必要になるので排尿・排便時の共助は頼めない。
 必要な薬は3週間分予備で持っている。排便時に必要な用具もある。
 水害のハザードマップでチェック(HPチェック)自宅周辺は水没しないが、第1次避難所、第2次避難所、第3次避難所は水没。
要望(案):行政に対して市町村に働きかけ、一般の避難所生活において特別な配慮を必要とする障がい者に前もって近隣にある高齢者施設や病院の受け入れをしていただけるように対処してほしい。災害が起きてからでは遅いので。

● 大東市在住、KSさん(C-2・睡眠時呼吸器使用者)(手動リクライニング)
 大震災などで心配だなと思うのは電源関係です。エアマットもそうですが、呼吸器が使えないと夜はしっかりと眠れないのが心配です。挙げるときりがないのですが、とりあえず思いつくのがこれでした。

● 堺市在住、MH(C-6・呼吸器不要)(簡易電動車いす・自走)
 大規模災害が起きた時の案ですが、自宅で過ごす事ができて停電になった場合は、僕はベッドはエアーマットで、移乗するのもつるべぇと言うリフターを使っておりますので移乗はヘルパーさんを2人呼んで平行移乗になります。その際、ベッドも電動なのでかなり動きが制約されます。最低でも起床時と就寝時は人体介助していただかねばなりません。褥瘡予防は背あてクッションを差し込み、足のかかとも小さなクッションを入れる事で対応出来ると思います。
 避難場所は一番近い、小学校になります。手動車いすで自走、または介助者に押してもらう事になります。何日も続く場合は周3回便だしがありプライバシーの問題もありますので厄介ですね。今、現在水、食料、薬、オムツ等の準備もしておりません。自宅の方が団地で収納スペースがあまり無いため、準備出来ないのが理由です。
 僕の住んでる堺市中区はほとんど海に面してないので津波は大丈夫だと思いますが実際にはどうか分からないです。震度7以上が来ると住んでる団地が倒壊してしまう恐れがあります。寝てる時に大地震が来たらどうしようもないです。南海トラフの地震発生後、約100分で津波が到達すると想定されています。津波警報、大津波警報が発表された際は、JR阪和線を目標に東の高い所へ避難しましょうとなっておりますがその時の移動手段は介護タクシー、手動車イスで全介助、電動車イスで行ける所まで移動しようと思いますが実際にはその時になってみないと分かりません。難しい事だらけです。

● 大阪市在住、SSさん(C-6・呼吸器不要)(簡易電動車いす・自走)
 先日の台風の影響で自宅は停電となったが、思わぬ所で電気を利用していることに驚きました。当時は電動ベッド上に居たんですが、当然、停電になると高さ調整もできない状態でした。そのため、手動で回避できると思っていたんですが、ハンドリング装置はオプションということで、標準装備されていませんでした。次に、自宅から外出する時に油圧式昇降機を利用するのですが、こちらも電気がないと稼働しませんでした。停電になってみて初めて不都合が多々あることに気が付きました。改めて普段の動線確認の大切さを再認識しました。

● 吹田市在住、AHさん(C-4・呼吸器不要)(電動ティルトリクラ・チンコン・自走)
・大規模停電…昨年は吹田市内で大規模停電がありましたし、今年は北海道で電力供給ができなくなるブラックアウトがありました。家の中ならなんとか打つ手があったとしても、外であればエレベーターが使えなくなるとたちまち移動できなくなる。電車内とか地下街であれば逃げ道はどこにあるのか?
→地下街からの脱出経路はどうなってる?
また、そのルートはどれだけの人が場所等を知ってる?
→緊急時に電車内からの脱出はどうなってる?
また、避難訓練等で車いすを交えたシミュレーションをやってるのか?
・寒暖差…現実的には家の中でも冷暖房は日常生活に欠かせないアイテムですが、避難所等で冷暖房がなければ体温調節に苦労する。しかし、多くの施設にはそのような設備が整っていなくて、あったとしても電力供給が不可能であれば名ばかりの役立たずになりかねません。
→非常用電源は?
→備蓄してある食品は?(低血糖対策に甘いものも欲しいところ)

● 兵庫県加東市在住、MHさん(C-4・呼吸器不要)(電動ティルトリクラ・チンコン・自走)
・震災当日は兵庫リハ(中央病院)に入院中でした。
・病院のエレベーターが動かなくなって、しばらくは4階の病棟から動けませんでした。
・電話(公衆電話)が使えなくなり、外部との連絡が絶たれてしまいました。
・コンビニやスーパーから、飲料や食料、日用品が消えてしまいました。渋滞が酷く、供給が追いついていませんでした。
・病院の自販機からもタバコや飲料は瞬時になくなってしまいました。
・温かい食事が提供できなくなり、2日間ほど食事は冷たかったと思います。
・震災で受傷した患者が入院してくるため、看護師の数が圧倒的に足りていなかったと思います。私に対する看護体制も手厚いものではなかったです。
・親が病院に来るのにも、通常は1時間くらいで来られるところが、渋滞の影響で3時間以上かかっていました。
・病院では重度障害者へのケアが追いつかないため、しばらく自宅に帰って混乱が収まるまで自宅療養することになりました。
・在宅に戻ったあとの介護や社会資源の活用などの情報も満足に得られないまま、退院させられました。
・病院で処方された電動車椅子が、道路事情の関係により大幅に遅れて納品されました。その間、ベッド上で過ごさざるを得ませんでした(介護リフトがなかったため)。
・自宅の増改築をする予定でしたが、復興が優先となったため、建築会社に住宅建築用物資が届かず、増改築予定も大幅に遅れました。1年くらいかかったと記憶しています。

● 大阪市在住、TSさん(C-6・呼吸器不要)(簡易電動車いす・自走)
 私の家は、9階のマンションです。避難といっても、たとえ9階から降ろしてもらう事が可能だとして車椅子がいるし、医療用具は不可欠だし、学校の床にダンボールで寝るのも無理そうだし。という事で、マンションが壊れない限りは家にいたい。と思っています。ただ、火が出たらとおもうと思考停止です。
 家にはペットボトルの水とか、電池、ガスボンベは、常備しておく様に心がけてはいます。が、北摂の地震の時、電車が止まって幸いにもヘルパーさんが、早く来てくれてたから事無きを得たけど、ヘルパーさんがいないと食べ物があっても食べられ無い。車椅子に乗って居るのかさえわからない。
 以前、障害者の調査票が来たけれど、それ以降聞き取りに来てくれる気配もないし。以前は、よく近所つきあいもあったけれど今はあまりないし、ヘルパーさんに、朝、鍵を開けて入ってきてもらうけど、鍵がしまっていたら自分で外に出て救助を頼む事もできないし。地域での障害者や自力で逃げられない高齢者の聞き取り調査を早くして欲しいと思う。事前に、他地域とやりとりして、いざとなったらどこに住んでる障害者は、何処かの福祉施設に移す。とか、そんなある程度の移動マップとか作ってくれると、有り難いのだけど。
 外出時、せめて2日分の、薬、医療備品を持って出る。という事は必要ですね。

● 大阪市在住、NMさん(C-5・呼吸器不要)(電動ティルトリクライニング・自走)
 まずは家族と離れ一人で住んでいますので、ヘルパーに来てもらえるかどうか?ヘルパーもその家族も被災しているでしょうし。確か単身で住んでいると役所には届けてありますが、救助や配給などで気づいてもらえるかどうか?エアマットは停電でも半分空気は抜けないようになっていますが、エレベーターが止まるので。仮に非常階段で降ろしてもらっても、電動は降ろすのが難しいため、褥瘡の危険も増えますしね。薬やストマなどの備蓄はあり、避難所はすぐ近所にあります。ただ、重度の障害がある人にどこまで対応してもらえるか?

● 和歌山市在住、USさん(C-6・呼吸器不要)(簡易電動車いす・自走)
・停電時に使用するライトと携帯電話やスマホに使う予備バッテリーの確保
・大きな揺れが起きた時の自宅の車いすの移動通路の確保(日頃からタンスや本棚・物が倒れないよう固定)
・排便・排尿の問題(衛生面)
 私の住んでいるところは和歌山市なので、大規模災害と言われると近々起こるとされる東南海地震を真っ先に思い浮かべました。東南海地震は津波が発生する可能性が高いとされているので、とにかく津波から逃げることを第一に考えます。自宅周辺のハザードマップでは被害が想定されていませんが、想定以上の事が起こると仮定して行動しなければと思います。幸い自宅より高所に小学校と中学校があるので避難したいと思いますが、避難した後に健常者と同様の支援が受けることができるのかが不安です。私の自宅周辺に福祉避難所は無いので、自宅での避難待機生活になると思います。
 こうやって文字に起こして書いていくと、災害時の対策というのは重度障害者にとって重要な課題だと改めて感じます。

● 枚方市在住、SYさん(C-5・呼吸器不要)(電動ティルトリクライニング・自走)
 私の場合は自宅周辺に福祉避難所やそれに準ずる高齢者施設は無いので、自宅が残れば自宅で避難生活になる。水害のハザードマップ では3-5mの水没と建物は半壊になる地域なので何処へ避難するのか検討中です。
 必要な薬は2週間分予備で持っていて、外出時も2日分ぐらいは持って出ています。


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