頸損の入浴方法 頸損だより2010秋(No.115) 2010年9月19日発送

 
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頸損だより2010秋(No.115) 2010年9月19日発送

特集

頸損の入浴方法


突然ですが皆さん入浴はどのようにされてますでしょうか。頸損者の場合、入浴1つをとっても簡単にいかないことが多く、皆さんそれぞれ工夫をされていることと思います。今回はこのような工夫をアンケートでお聞きして、集計・分類してみました。おかげさまで様々な方法で皆さん入浴をされていることをご紹介できる運びとなりましたので、ご自分に参考になる他の方のやり方が見つかれば幸いです。[桜井 龍一郎]

<内 容>

1.入浴方法
2.風呂用車いすあれこれ
3.リフトあれこれ
4.集計結果

※使用している写真の本誌以外での掲載、無断使用を禁止します。

1.入浴方法

皆さんの入浴手順や使う器具などをご紹介します。

Aさん(損傷レベル:C-4,5)

・浴槽    :使わない
・リフト   :使う(天井走行型)
・風呂用車いす:使う
・介助者   :2人

入浴手順
1.ベッド上で服を脱ぎ、膝の装具を装着
2.部屋と風呂場が隣接しているので風呂用車いすをベッド横に用意してリフトで乗り移り
3.訪問看護師に浴室に移動してもらう(その間ヘルパーさんが、ベッド上にタオルやおむつを設置)
4.シャワーでかけ湯
5.頭・顔・身体を洗う
6.再度シャワーでかけ湯
※排便と入浴が一緒の日なので、入浴中失便の際はリフトで身体を持ち上げ、どちらかが風呂用車いすの洗浄と身体の臀部を洗う(注意・膝が悪い為長時間リフトで吊る事ができない)
7.身体を拭き、膝装具にビニールを巻く(装具がかなり濡れている為)
8.浴室を出てベッド横に移動してリフトでベッドに移乗
9.ベッド上で膝装具をはずし、再度身体を拭く(その間ヘルパーさんに浴室の掃除をしてもらう。理由・浴室と洗面とトイレが一つの部屋になっているから)
※2週間に1度、訪問看護師に爪切りを行ってもらう(巻き爪がある為)
10.服を着る

浴室・用具
〈浴室〉
・部屋と風呂場を増築してバリアフリーにした
・浴室・洗面所・トイレを一つの部屋にした事で、広い空間を確保。大きい引き戸を設置し出入りしやすくし、引き戸側にも排水溝を設置
・困っている事:入浴後の後片付け(水気を全部拭きとらなければならない事)が面倒。ヘルパーさんがしているが、余計な時間
〈風呂用車いす〉
・普段使用している車いすと同じ形で、幅が広い
・腰と背中が痛いので、車いすの背もたれにやわらかいバスマットを敷いている
・褥瘡予防に円座を敷く

メモ
・浴槽を使わない理由:現在膝のじん帯損傷で膝をあまり曲げられないので浴槽に浸かれない。本来冬場は浴槽に浸かる
・ヘルパーのほか訪問看護も利用している
・冬はガスファンヒーターを部屋から風呂場に向けて暖める

Bさん(損傷レベル:C-5)

・浴槽    :使う
・リフト   :使う(支柱型)
・風呂用車いす:使う
・介助者   :1人

入浴手順
1.入浴用チェアー準備
2.寝室のリフターで吊り上げ状態にする
3.ズボン、パンツをはがす
4.車いす入れ替え
5.浴室まで移動(排便のある場合はこの間に排便。終了後に浴室に移動)
6.頭→顔→腕→上肢→体幹前→体幹後→下肢→股間の順に洗う
7.だいたい洗えたらスリングを身体に付けてリフターで吊上げる
8.吊上げた状態でお尻を洗う
9.10~15分ぐらい浴槽に浸かる
10.吊上げて車いすに座る
11.湯上りのシャワーをかける
12.タオルで体を軽く拭く
13.寝室に帰る
14.身体全体を拭く
15.リフターで吊上げベッドに移動
16.衣服をつける
17.吊上げて通常の車いすに移動

浴室・用具
〈浴室〉
・入り口にスロープ設置。設置したのは入り口側のみで、出るときは段差越えになるが、大輪の方から出るので楽に越えることができる
・ユニットバスで開き戸だったが、戸の部分の枠を変更して引き戸にした。変更した分間口が狭くなったので、シャワーチェアーのハンドリムを外し楽に出入りできるようにした
・リフト(マイティーエース・ウエルネット セパレーツスリング)を設置
・シャワー置きを手の届く位置に取り付け、シャワーに自分で持てる取っ手を付けた
〈風呂用車いす〉
・車いすは入浴、排便兼用に作った
・タイヤはチューブレスで、メンテナンスフリーにした
・錆びにくい様にほとんどの部品はステンレスにしたが、キャスターのベアリングが鉄製だったので錆びてボロボロになり、交換した。今はうまくいっている

メモ
・排便のない場合は事業所からの要請で介助者は2人
・お尻はリフターで釣り上げて洗う

Cさん(損傷レベル:C-5,6)

・浴槽    :使う
・リフト   :使う(天井走行型)
・風呂用車いす:使わない
・介助者   :2人

入浴手順
1.ベッドでズボンやパンツを脱ぐ
2.リフトで車いすに乗る
3.ベッドサイドで服を全部脱ぐ
4.リフトのベルトを着けて風呂場まで行く
5.リフトで車いすからマットを敷いた浴室に降りる
6.ヘルパーさんと母の2人介護で頭を洗ってひげを剃り、身体を洗う
7.冬は身体を洗った後リフトで湯船に浸かる(湯船から上がるとリフトのベルトが濡れるのでヘルパーさんに脱水してもらう)
8.身体を拭く
9.リフトで車いすに乗る
10.ベッドサイドまで行きベルトを外す
11.上着だけ着る
12.ベッドに寝る
13.残りの服を着る

浴室・用具
〈浴室〉
・ドアは内開きの折りたたみ式。洗い場にマットを敷いて直接座る際、ドアを半分に折って閉めると背中やリフトに当たらなくて済む
・湯船を低くした。身体を支えてもらいながらお湯をくむのが楽。洗い場より少し高くなっているので流したお湯は湯船には入らない
〈リフト〉
・パートナー・2ピースベルトを設置
・本来の吊るし方だと脇に体重が強くかかり痛いので腰の部分で支えるようにした
・今は薄い2ピースのベルトを使用
・薄くなった分付けやすく、湯船に入った後洗濯機で脱水しやすい

メモ
・風呂用車いすを使わない理由:入り口に車いすが入らないのと、車いすを使うと洗い場が狭くなるので
・介助者2人のうち一人は母親

Dさん(損傷レベル:C-3,4)

・浴槽    :使う
・リフト   :使う(天井走行型)
・風呂用車いす:使わない
・介助者   :1人

入浴手順
1.湯張りが終わった浴槽に檜の厚手の蓋をして農業用ビニールシートを被せる
2.ホイストでベッドに降りて脱衣
3.蓋の上にリフトで移動
4.洗顔、洗身、洗髪
5.湯船に浸かる

浴室・用具
〈浴室〉
・ゼロから自宅を建築
〈リフト〉
・1981年当時は介護用がなかったので工業用のリフトを設置。介護用・天井走行型ホイストに相当する

メモ
・風呂用車いすを使わない理由:1.座位困難。2.全介助であるなら介助者への負担軽減になる。3.浴室のスペースがあった
・檜の4センチ厚の蓋の上で洗身。高さを介助しやすい80センチにした
・冬は赤外線ヒーターを入れる。冬は隣接の寝室や居間のエアコンであらかじめ浴室を温めておく

Eさん(損傷レベル:C-6)

・浴槽    :使う
・リフト   :使わない
・風呂用車いす:使う
・介助者   :2人

入浴手順
1.車椅子からベッドに上がる
2.衣服を脱がせてもらう
3.膀胱瘻のカテーテルにつないでいるレッグパックを入浴用に使っているウロバッグに付け替えてもらう
4.便の処理をしてもらう。(パウチに溜まった便を捨ててもらう)
5.膀胱瘻に貼っているガーゼ、褥瘡予防に貼っている当てガーゼを取ってもらう
6.フランジ交換をする時はフランジを剥がしてもらう
7.二人で抱えてシャワーキャリーに乗せてもらう
8.浴室に移動してシャワーでかけ湯をしてもらう
9.洗髪をしてもらう
10.身体を洗ってもらう
11.二人で抱えて浴槽に入れてもらう
12.浴槽内では自分でバランスを取り、20~30分浸かる
13.二人で抱えてシャワーキャリーに乗せてもらう
14.バスタオルで身体を拭いてもらって自分の部屋に移動
15.二人で抱えてベッドに乗せてもらう
16.しばらくクールダウン
※以降はフランジ交換がある場合とない場合で異なる
〈フランジ交換がない場合〉
17.入浴用のウロバッグをレッグパックに付け替えてもらう
18.ベッドアップをしてもらってパウチの水分をティッシュペーパーでとる
19.膀胱瘻を消毒してガーゼを貼る
20.ベッドを倒して全身に保湿クリームを塗ってもらう
21.左の腰、右の坐骨に褥瘡予防の当てガーゼを貼ってもらう
22.レッグパックを右足のすね部分に付けてもらって衣服を着せてもらう
23.アクエリアスを500ml飲む
24.車椅子に乗る
〈フランジ交換がある場合〉
17.入浴用のウロバッグをベッド用のウロバッグに付け替えてもらう
18.新しいフランジの準備をしてもらう
19.ベッドアップをしてもらって新しいフランジを貼ってもらう
20.膀胱瘻を消毒してガーゼを貼る
21.ベッドを倒して全身に保湿クリームを塗ってもらう
22.上着を着せてもらう
23.右側臥位にしてもらう
24.アクエリアスを500ml飲む

浴室・用具
〈風呂用車いす〉
・座ったままでお尻や下の方が洗えるように、座面がU字型にくり抜いてある
・手すりは跳ね上げ式で、簡単に動かせる
・ストッパー(ブレーキ)は後輪のみで前輪にないため、浴室の下がタイルということもあって、簡単に動いてしまう
・背もたれがちょっと低いので、もたれてのバランスはあまり良くない。座面に褥瘡予防でU座クッションを置いて、その上に座るのが原因
・U座のクッションは、空気圧を変えることで、褥瘡予防やバランスをとりやすいようにしている
・円座よりU座クッションの方がお尻や下は洗いやすく、一般的な円座より柔らかいビニール製なので、クッション性もよい
〈手すり〉
・浴槽に浸かっている間、右手で持って身体を支えるために浴槽の壁に長いタイプのものを付ける
・手すりを持つために右手を上げると余計に浴槽内でバランスを崩すので、結局は全く使っていない

メモ
・リフトを使わない理由:二人介助で入浴するため、リフトを使う必要がない
・冬は浴室暖房を入れ、お湯の温度を上げる
・入浴用にひとつウロバッグを用意しておいて、そのウロバッグに付け替えて入浴する。浴槽にもウロバッグごと浸かる
・制度の時間数の関係で入浴回数が制限されるのが問題
・人工肛門の装具交換の日に、装具関係を全部取った際入浴中に便が出るので困っている

Fさん(損傷レベル:C-5,6)

・浴槽    :使う
・リフト   :使わない
・風呂用車いす:使わない
・介助者   :2人

入浴手順
1.裸になってベッドから車いすに二人介助で移乗
2.車いすで風呂場の前まで行く
3.ヘルパー二人で車いすから湯船の中に直接入れてもらう
4.湯船に入ったまま、頭を洗ってもらう
5.顔を洗って、湯船の中で座位をとり、頭からシャワーをかけてもらう
6.頭を拭いてもらう
7.ヘルパー二人で湯船から洗い場(ウレタンマット)に寝かせてもらう
8.座って洗えないところを洗ってもらう
9.座位を洗い場でとり、全体を洗ってもらう
10.シャワーで全体を流す
11.洗い場から湯船に移乗
12.湯船の中で座位をとり、頭からシャワーで流してもらう
13.頭を拭いてもらう
14.湯船から洗い場に移乗
15.かかり湯をする
16.体を拭いてもらう
17.洗い場から車いすに移乗
18.車いすでベッドの横まで移動
19.車いすからベッドへ移乗
20.体を拭いてもらう

浴室・用具
〈浴槽〉
・十年くらい前、風呂場の修理の際褥瘡治療の為と、住宅改修制度を役所に申請してお金が下りたのでジェットバスを設置
・通常の湯船より圧倒的に気持ち良く、褥瘡治療にも大きく役立っている

メモ
・リフトを使わない理由:風呂用のリフトの助成金が下りなかったためと、2人介助が認められたため
・風呂用車いすを使わない理由:風呂用車いすに座ると洗えない場所(お尻)があり、マットを敷いて側臥位になって洗えない場所を洗ってから長座位になって全体を洗うほうがよい為。湯船から出入りするのに椅子がない方が都合よく作業が出来るため
・入浴後の褥創処置に困っている

Gさん(損傷レベル:C-5,6)

・浴槽    :使わない
・リフト   :使わない
・風呂用車いす:使う
・介助者   :2人

入浴手順
1.ベッド上から2人介助でシャワーチェアーに移乗
2.浴室へ行き1人介助で、頭・身体を洗ってもらう。シャワーのみ使用。もう1人はベッドメイキングなど部屋で入浴後の準備
3.浴室で身体を拭き、部屋へ移動
4.2人介助でベッドへ移乗
5.ベッド上で再度身体を拭く。服を着せてもらう。浴室の介助者は浴室の掃除
6.2人そろったら2人介助で車いすに移乗

浴室・用具
〈全面改装〉
・元々あった3帖ほどのキッチンを、他にキッチンがあるので2帖分浴室に改装した
・3枚引き戸、引き戸側に排水側溝、固定リフト取付け
〈リフト〉
・マイティーエース・2ピースベルトを設置

メモ
・浴槽を使わない理由:浴槽に浸かる条件(リフトや広さ)は整っていて、何度かは20秒ほど浸かったがその後、疲れすぎてクタクタになったので浸かるのを止めた。冬は片足ずつ足浴をする
・リフトを使わないのも浴槽と同じ理由
・寒い時は四角いケースにお湯を入れて片足ずつ足浴をする

Hさん(損傷レベル:C-4,5)

・浴槽    :使わない
・リフト   :使う
・風呂用車いす:使う
・介助者   :1人

入浴手順
1.ウロバッグの尿を捨てる
2.風呂用車いすの通り道(ベッド周辺・リビング)にビニールシートを敷く(風呂から上がってベッドに戻るときに下が濡れないように)
3.風呂用車いすをベッド横に用意してリフトで乗り移り
4.リビングに移動して服を抜く(部屋の中では狭いので広い場所で服を脱ぐ)
5.浴室に移動
6.シャワーでかけ湯
7.身体を洗う
8.頭・顔を洗う
9.手足のアカをこすって落としてもらう
10.再度シャワーでかけ湯
11.身体を拭く
12.浴室を出てリビングに敷いたビニールシートの上に移動
13.再度身体を拭き、車いすを拭く
14.ベッド横に移動してリフトでベッドに移乗
15.服を着る

浴室・用具
〈スロープ〉
・浴室前のスペースを全体に高くし、そこからスロープでリビングにつながる。木製
〈ドア〉
・ドアを取り外してカーテンレールを設置しアコーディオンカーテンを取り付ける
〈風呂用車いす〉
・骨格はアルミ、シートは網目状のビニールで作製し、水に濡れても使える仕様した
・パイプに空ける穴を減らしてパイプ内部に水が入りにくくするため、ひじ当てはつけなかった

メモ
・浴槽を使わない理由:浴槽が狭いのと人手がないため
・リフトはベッドから風呂用車いすに乗り移る際に使用。風呂用に設置したリフトではない。マンションなので浴室にリフトを設置するのは困難
・浴室がもう少し広ければ便利。欲を言えば湯船に浸かりたい

Iさん

・浴槽    :使わない
・リフト   :使わない
・風呂用車いす:使う
・介助者   :1人

浴室・用具
・ほとんど使わなかった浴槽を撤去
・シャワーヘットを勢いの強いものに変更

Jさん(損傷レベル:C-6)

・浴槽    :使わない
・リフト   :使わない
・風呂用車いす:使わない
・介助者   :なし~1人

入浴手順
1.車いすを横付けしトランス
2.衣服の着脱
3.シャワー浴
4.車いすへ移乗
5.ベッドに移乗
6.着替え

浴室・用具
〈浴室〉
・床面全体を横トランスできるように嵩上げ
・下は木で組んでいて、上はガーデニング系プラスチックのような素材
・風呂場掃除の時にはパズルのようにめくりあげる

メモ
・浴槽を使わない理由:10cm程度の乗り越えが難しいこと。介助を使う場合もあるが、狭いしリフトなどは設置できず、身体的負担も大きいため、冬場などよほど入りたい場合を除いては、シャワー浴で済ますことが多い
・リフトを使わない理由:浴室が狭く設置できないから
・風呂用車いすを使わない理由:風呂用車いすだと動きに制限がかかるので、車いすを横付けしでトランスし、周辺壁で支えで入浴している

Kさん(損傷レベル:C-1・呼吸器使用)

・日中一時支援
・障害者自立支援法の地域生活支援事業のひとつ
・障害者等の日中の活動の場を確保し、その家族の就労を支援し、一時的な休息の場を提供する。宿泊を伴わない場合に利用できる

入浴手順
1.サービス業者の車でサービス施設へ移動
2.ストレッチャーへ移動
3.服を脱ぐ
4.洗髪
5.身体を洗う
6.浴槽へ入浴
7.浴槽内で手足を洗う
8.上がりに掛け湯
9.身体を拭く
10.服を着る
11.車椅子へ移乗
12.サービス施設の車で自宅へ

メモ
・ストレッチャーへ移乗から車椅子へ移乗するまでの間はアンビューバックで呼吸補助対応)
・夏は冷房を入れ、冬は暖房を入れる
・週の回数が限られているため、回数を増やして欲しい

Lさん(損傷レベル:C-5,6)

・訪問入浴
・障害者自立支援法の地域生活支援事業のひとつ
・家庭で入浴することが困難な重度身体障害者等に対し、居宅での入浴サービスを提供する
・負担額は原則として費用の5%。所得に応じて上限額あり
・利用回数は週2回まで。事業所は別々でも良い。本人と事業所が交渉して決める

入浴手順
1.看護師、担当責任者、ヘルパーの三人が訪問入浴車で指定曜日の指定時間に来る
2.まず、体温と血圧測定をし、医師の入浴許可範囲内の数値であれば入浴可能
3.ベッドサイドに浴槽を準備し、お湯張りが済むと担当責任者、ヘルパーの二人が体をかかえて浴槽に移動。浴槽にはハンモック状のシートがセットしてあり、ハンドルを操作するとシートが緩んで体が沈む
4.しばらく温まった後、頭部から順に洗ってもらう。10分から15分ほど浸かったのち、上がり湯をしてベッドに上がる
5.必要な処置(例えば褥瘡)を済ませ、着替え、髪の毛を乾かす
6.体温と血圧の再チェック
7.浴槽の洗浄、後片付け

メモ
・冬は暖房を入れる
・利用している2つの事業所に、どちらも同じ要領でやってもらえるようにお願いしているが、一つの事業所が要望に応えてくれなくて困っている

Mさん(損傷レベル:C-1・呼吸器使用)

・ベッド上に浴槽を作って入浴
・介助者   :5人

入浴手順

使用するもの
・洗濯機用の排水ポンプ
・ゴムホース
・シャワーのヘッド部分
・業務用の厚手のビニールシート
・ビニール製のゴミ袋
・紙おむつ
いずれもホームセンター等で入手可能。

大まかな入浴の手順
1.浴槽作る
2.入浴する、体を洗う
3.洗髪をする、汚れたお湯を抜く
4.お湯に浸かる、流し湯、お湯を抜く
5.ベッドを元に戻す

入浴の手順詳細
1.できれば本人は別の場所に移動させる。人海戦術で行っているが、リフトで代用できると思われる。ビニールシートを敷き込むときは、滑りが悪いので腰や背中をひねらないよう注意
2.ベッドの上に防水用の薄いビニールシート(ゴミ袋を使用)、バスタオル(漏れている気配がするときは紙おむつ等)を敷いた上に厚手のビニールシートを敷く
3.本人をベッドの中心に戻す。ビニールシートが湿っている場合は体が引っかからないように注意
4.両サイドにベッドの柵をしてから体との隙間を埋めるためにスポンジなどを詰め込む
5.本人がちょうど真ん中に収まるような感じになればベッドで上半身を少し起こして浴槽の完成
6.風呂場からバケツ5、6杯分(50リットル分ぐらい)のお湯を運んでくる。お湯を入れて最初に体を洗う
7.冬場は寒いのでお湯を入れたまま洗髪。シャワーとポンプを使って風呂場の浴槽からお湯を引っ張ってくる。人力で少しずつ溜まっていくお湯を捨てる
8.洗髪が終わればすべてのお湯を捨てる。同時にシャワーで体についているシャンプーを洗い流していく。シャワーのお湯が汚れなくなったら新しくお湯を入れてゆっくり浸かる
9.逆の手順で元に戻す

Nさん(損傷レベル:C-6)

・入浴しない

メモ
・清拭だけでも十分に気分良くなれるという事と、入浴に掛かる人手と時間の問題から、入浴しなくなった

2.風呂用車いすあれこれ

車いす既製品
シャワーチェアー52cm×128cm(MIKUNI)
円座ラバークッション=16インチ(オカモト)

シャワーチェアー
・座ったままでお尻や下の方が洗えるように、座面がU字型にくり抜いてある。
・手すりは跳ね上げ式で、簡単に動かせる。
・ブレーキは後ろについている。前輪にブレーキがなく、浴室の下がタイルなので動いてしまう。
U座クッション
・空気圧を変えて、褥瘡予防やバランス調整を行う。
・一般的な円座よりクッション性がよい。

クッションは既製品。ウレタン製。

車いす・シートともに市販品。
車いすはカワムラサイクル製。
シートには、クッションタイプになっている便座を置いて座る。

普通のシャワーチェアー。クッションは使わない。

車いすオーダーメイド
普段使用している車いすと同じ形で、幅が広い。
腰と背中が痛いので、背中にバスマットを敷く。

車いすは、入浴と排便の両方で使用。
タイヤはチューブレスで、メンテナンスフリーにした。
錆びにくい様にほとんどの部品はステンレス製。キャスターのベアリングが鉄製で錆びたが交換で対応。
クッションは市販の風呂用マットをU字にカット。

骨格はアルミ、シートは網目状のビニールで作製し、水に濡れても使える仕様した
パイプに空ける穴を減らしてパイプ内部に水が入りにくいようにするため、ひじ当てはつけなかった

3.リフトあれこれ

大きく分けて、天井にレールを取り付け浴室・部屋間を移動できる天井走行式と、浴室に支柱を設置して、浴槽に降ろす支柱式があります。

パートナー(天井走行式・2ピースベルト)
パートナー(天井走行式・2ピースベルト)
マイティーエース(支柱式・2ピースベルト)
マイティーエース(支柱式・2ピースベルト)
工業用(天井走行式・2ピースベルト)

4.集計結果

本年4月に頸損の入浴方法についてのアンケートを頸損連役員メンバーを中心に行い、20名の方から回答を頂きました。その主だった内容を集計して掲載します。

入浴は行いますか
行う  :19名
行わない: 1名

入浴回数は何回ですか
毎日   : 1名
週5回  : 1名
週4回  : 1名
週4~3回: 1名
週3回  : 3名
週2回  :10名
週1回  : 2名

入浴の形態はどのような形ですか
浴槽につかる:11名
シャワー浴 : 6名
その他   : 2名
※その他:シャワーチェアを使ってお湯に浸かる。ベッドの上に浴槽を作る

リフトは使用しますか
使う  : 7名
使わない:12名

シャワーチェアーは使用しますか
使う  :11名
使わない: 8名

介助人数は何人ですか
なし~1人:1名
1人   :7名
2人   :8名
3人以上 :3名

どのような改造をしましたか(複数回答)
スロープ設置:10%
ドア改造  :35%
床面改造  :15%
浴室改造  :20%
リフト設置 :20%
シャワー変更:10%
手すり設置 : 5%
全面改装  :15%

 

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